前回までの連載以降に発表となった最新情報は、2013年12月現在、以下の点となります。
- MySQL 5.6へのメジャーバージョンアップ
- Windows版インストーラの刷新
- ダウンロードサイトの変更
- MySQL 5.6認定試験の開始
- 次期メジャーバージョンMySQL 5.7開発開始
- 複数のLabs版の公開
今回は主にこれらの最新情報についてご紹介し、次回以降はMySQL認定試験でもポイントとなる技術情報を中心に解説していきます。
MySQL 5.6の主な新機能および改良点
2013年2月にリリースされたMySQL 5.6では、大幅な性能向上を実現しています。参照のみの処理性能の比較で、MySQL 5.5と比較して230%のスループットの向上を達成しています。
このベンチマークでは新機能の参照専用トランザクションを利用しています。以下のようにREAD ONLYオプションを付けてトランザクションを開始することで参照専用トランザクションとなり、高速な参照処理が可能となります。
また同一条件での性能向上だけではなく、CPUのコア数や実行スレッド数が増加した場合に性能がスケールするような改良も行われています。48CPUスレッドまでの参照更新処理のベンチマークでは、スレッドの増加に応じたスループットが着実に伸びています。
さらに、これまで以上に製品のテストにリソースを投入して品質の改善を行いました。MySQL 5.6の開発ではDMR(Development Milestone Release)という開発モデルを本格的に導入し、製品出荷版であるGAまでに、一定の品質水準に達した機能のみを含む開発途上版を4-6ヶ月ごとにリリースしてきました。結果としてこれまでのメジャーバージョンと比較してもリリース直後から高い品質となっており、早い段階からFacebookやTwitterをはじめとして新しいメジャーバージョンを採用するユーザが多くなっています。
MySQL 5.6での主な改良のポイントは以下の通りです。
InnoDB | 処理性能を向上、運用を効率化する機能を追加 |
オプティマイザ | JOINやサブクエリの処理性能を向上 |
レプリケーション | GTIDによる新しいプロトコルを追加、スレーブの耐障害性を向上 |
パフォーマンス・スキーマ | より詳細な統計情報を取得およびオーバーヘッドを削減 |
InnoDB「NotOnlySQL」オプション | MemcachedプラグインによるSQLを利用しないデータアクセスを追加し、開発柔軟性を向上 |
MySQL 5.6に関するプレゼンテーションは、「60分でつかむMySQL最新技術情報」がおすすめです。
また、ベンチマークの実行条件や新機能がより詳細に書かれたドキュメントは「データベース管理者/開発者ガイド MySQL 5.6の新機能」をご参照ください。