今回はメタデータを表形式で格納して、分析に役立つINFORMATION_SCHEMAついて解説します。前回第5回で解説したSHOWコマンドに比べてより詳細な情報を柔軟な方法で利用できるのがINFORMATION_SCHEMAです。
INFORMATION_SCHEMAの役割と使い方
INFORMATION_SCHEMAはSQL標準の規格※となっている、インスタンス内のメタデータを格納するデータベースです。このようなメタデータを格納する機能は、データディクショナリやシステムカタログと呼ばれることもあります。MySQLのINFORMATION_SCHEMAは標準規格ANSI/ISO SQL:2003のPart 11のSchemataの定義に従っており、SQL:2003のコアであるF021 Basic information schemaに準拠するように実装されています。
※ISO/IEC 9075-11:2003 -- Part 11: Information and Definition Schemas (SQL/Schemata)
INFORMATION_SCHEMAにはメモリに格納された参照専用の特別なテーブルがあり、SELECT文を使ってメタデータの確認ができます。ただし実態はテーブルではなくビューで、データを格納するファイルはありません。またトリガーの設定もできません。それぞれのテーブルに複数の文字列型の列が存在しますが、文字コードは基本的にutf8で、デフォルトのCOLLATION (utf8_general_c)を使用しています。
SHOWコマンドではLIKE句やWHERE句でデータの絞り込みができますが、INFORMATION_SCHEMAに対してSELECT文のORDER BYやGROUP BY、UNIONさらに別のテーブルとのJOINなどができます。INSERT INTO ... SELECT ...文を使って他のテーブルにメタデータを挿入することも簡単にできます。

INFORMATION_SCHEMAのリファレンスマニュアルのポイント
INFORMATION_SCHEMAの全てのテーブルの情報などはリファレンスマニュアルの下記を参照してください。
http://dev.mysql.com/doc/refman/5.6/en/information-schema.html
リファレンスマニュアルの各テーブルのページには、それぞれの列について3つの情報が掲載されています。
INFORMATION_SCHEMA Name | INFORMATION_SCHEMAのテーブルでの列名 |
SHOW Name | SHOWコマンドの出力で該当する列名 |
Remarks | 追記事項。MySQL extensionになっているものはSQL標準からの独自拡張 |
また、テーブル名がInnoDB_で始まるものは、InnoDBストレージエンジン固有のテーブルで、稼働状況の監視やトラブルシューティングのために利用されます。これらのテーブルについてはマニュアルの別のページにまとめられています。
http://dev.mysql.com/doc/refman/5.6/en/innodb-i_s-tables.html
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梶山隆輔(カジヤマリュウスケ)
日本オラクル MySQL Global Business Unit Asia Pacific & Japan担当 MySQLソリューション・エンジニアリング・ディレクターオラクル社において、MySQLのお客様環境への導入支援や製品の技術解説を担当するセールスコンサルタントチームのアジア太平洋地域リーダー。多国籍なM...
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