「問題は解決できる」「組織は変えられる」という実感を社員全員が持つこと
どんな組織であっても、社内にくすぶる問題や不満の1つや2つはあるものだ。しかし、それらを顕在化させ、組織の問題として共有できていれば、解決・改善される可能性が高まる。一方で問題を表立って口にできない組織では、小さな問題が積み重なり、管理層への不満となり「千丈の堤も蟻の一穴から」の言葉通り、組織を崩壊させる原因になりかねない。
問題を抽出し、顕在化することが、組織改善・改革の第一歩。そして、プロセスはもちろんだが、問題や不満を口にしやすい組織になっていることが大前提となる。二者の関係は卵と鶏のようなもので、問題を顕在化し解決できたという成功体験が問題を口にしやすいフラットな組織を作り、そうした組織が実現できれば問題解決はいっそう活性化する。その糸口となるのが、「問題は顕在化させることで解決できる」というメンバーの認識と信頼関係づくりだ。
そこで「未来会議」では、発言においていくつかの「お約束」を設けた。個人批判やできていないことに対する批判をNGとすること、相手の言うことを批判せず、お互いに尊厳を持って耳を傾けること、そして組織の階級を持ち込まないことなど。特に上司や経営層に対する遠慮は問題抽出の大きな障壁となるため、グループづくりには配慮し、経営層は別テーブルに待機して呼ばれたら出て行くという形にした。
その念押しをするべく、代表取締役の佐々木が登壇。「出版界の変化が顕在化している中で、組織としてどう取り組んでいくのか大きな課題となっている。それを認識し、出された問題の大小に関わらず、経営は全力で取り組むことを約束する」と語り、会議の目的と経営層の姿勢を改めて強調した。
そして今回は「組織パターン」の訳者である和智右桂氏、高柳謙氏のダブル司会を中心に、実際にアジャイル開発で組織づくりにとりくむ8名にファシリテーターとしての協力を依頼。発言が停滞したり、視点が偏ったりした時に助け舟を出すなど、会議をスムーズに価値あるものにするためのきめ細やかな対応を行った。
ファシリテーターの川口恭伸氏(楽天株式会社)からの提案の1つとしてユニークだったのが、会議の冒頭に行ったアイスブレイクである。20人ほどのグループに分かれて輪になり、名前の五十音順にテニスボールにタッチするというゲーム。さまざまなファシリテーションの結果、1/50もの時間短縮に成功。「いつもやっている方法」が本当にベストなのか疑問を持つこと、そして課題は協力し合えば解決できるというシンプルなメッセージが伝えられたのは言うまでもない。