抽出された課題すべてに経営層が回答。次の「未来会議」へとバトンを渡す
「未来会議」を終えた後10日の間の行動も素早かった。課題として抽出されたものに経営層がコメントを掲載し、エクセルの表にまとめて配布され、誰でも閲覧が可能だ。さらに、いくつかの対策プロジェクトがはじまっており、中には長期間放置されてきたにも関わらず、未来会議が終わった後すぐに解決できたものも少なくないという。
たとえば「紙ベースの新刊詳細の情報源を、刊行まで期間のある書籍も検索しやすい情報システムにしてほしい」という課題に対し、「注文書はPDFでGoogleドライブに入れ、書誌情報データベース(DB)の構築をする」という解決策が会議で出された。検討の結果、そのアイディアがそのまま活用される形で、会議からわずか3日後にはPDFでの共有システムが開始され、DB/NBL/注文書を一体化したWebサイトの検討もスタートしたという。このように、会議を通じて解決が示され、すぐに問題解決した課題は4つもあったのである。
他にも経営層自体が検討をはじめたものもあれば、それぞれのジャンルや部署に対しての改善要望が解決案とともに示されたものもあり、課題ごとの細やかな改善は少しずつ始まっている。もちろん、改善が決定したものについては、部課長会で報告を義務付けるなど、進捗管理も厳しく要望していく予定だ。
前向きな課題と解決策の抽出に一定効果があった感がある「未来会議」。しかし、本番はこれから。2014年早々に開催される「未来会議Vol.1」への期待が高まる中、取り組みを継続させていくことが重要となる。社員に負担なく大きな効果を得るためにどうしたらいいのか。運営側の模索が始まっている。
この繰り返しによって翔泳社の組織がどのように変化し、その組織からどのようなベネフィットが生まれ、社会に提供できるようになるのか。「組織パターン」のメソッドの検証とともに、今後の翔泳社の動向についても楽しみにしたい。