ビジネス会計力講座「経営分析」編、3月20日開催!!
本連載筆者による、決算書による「経営分析」手法と考え方
株価はなぜ乱高下するのか-利益の変化と投資リスクの影響
2013年の日経平均株価は、前年末から56.7%上昇しました。これは1972年以来、41年ぶりの上昇率だそうです。その反動で、2014年にはいると乱高下が激しくなっています。
株価が増減する要因はたくさんありますが、直接的要因は、「損益(利益または損失)の増減」です。特に最終的な儲けである純利益の増減が影響します。純利益の増加は、株主価値である純資産を増加させるためです。
さらに「株価収益率(PER:Price Earnings Ratio)」という指標で考えると株価と利益の関係がよくわかります。PERは、株価が1株当たり純利益(EPS:Earnings Per Share)の何倍かという指標(株価÷EPS)で、業界の経営環境に影響されます。日経平均株価で見ると、これまでPERは10倍から15倍程度で変動してきました。
例をあげてPERの使い方を説明しましょう。A社の株価は1000円で、平均PERが10倍の業界です。A社のEPSが100円から120円に20円アップ(20%)すると予想されました。この場合、平均PER10倍の業界なので、EPS120円×10倍=1200円まで、株価がアップする可能性が出てきます。もし現在の株価が1200円以下ならば買いのチャンスかもしれないということです。もし利益の増加率を予想できれば、株式投資には大いに役立つわけです。
株価が大きく変動する理由は、投資リスクが増加しているからです。「投資リスクが増加している」とは、損益が大きく変化する可能性があることを意味します。ビジネスシーンにおいてリスクとは、「危険」と訳さないで、「不確実性」と理解してください。損益が増減するリスクが高いということは、大きく増益になる可能性もあるが、大きく損失が出る可能性もあることを意味しています。損益が上にも下にも大きく振れやすいということです。
投資リスクをもたらす要因は2つに分けることができます。1つはマクロ要因で、経済環境の変化、市場環境(競争環境、顧客環境、取引環境、立地環境)などの変化があります。もう1つはミクロ要因で、企業の貸借対照表(財政状態)や損益計算書のコスト構造(変動費、固定費)が、損益の増減に影響を与えます。
ミクロ要因のうち損益計算書の構造が、売上目標や損益の変化にどのような影響を与え、損益の変化をどう予想するかについて考えましょう。