最初に立ちはだかる、導入コストの壁を乗り越える!
デスクトップ仮想化の導入検討を始めて最初に立ちはだかるのが「導入コスト」の壁だ。通常のデスクトップPCやノートPCが近年、極端に低価格化したことにより、十分なCPU性能、メモリ容量、ハードディスク容量のPCを低コストで導入することができる。
企業での利用ではWindowsもActive Directoryに参加できるProfessionalエディションが必要になるが、ビジネス向けのPCであれば標準でバンドルされているし、MS Officeがバンドルされていても驚くほど低価格で購入できるものが多い。
通常のPCを導入する際にかかる導入コストは以下の通りだ。
- 端末
- PCハードウェア本体
- Windowsライセンス
- アプリケーション
一方、仮想デスクトップの場合、以下のような導入コストを考えなければならない。
- 端末
- 仮想デスクトップ環境を構築するサーバー機
- 共有可能で高速、大容量なストレージ
- 仮想デスクトップ環境ソフトウェア
- 仮想デスクトップ用Windowsライセンス
- アプリケーション
項目が多いから高いというわけではないが、仮想デスクトップ環境を構築する方が導入コストは高くなりそうなのは、ざっと眺めただけでも分かるだろう。 しかし、導入コストだけがコストではない。通常、PCは3年から5年利用するので、その間にかかる様々なコストも比較しなければ公平ではない。いわゆる運用コストとして、以下のような項目が挙げられる。
- セットアップのコスト
- バージョンアップのコスト(OS、アプリケーション)
- 障害発生時のコスト
- ユーザーサポートのコスト
これらのコストは、初期導入のコストが購入費用として金額で見えやすいのに比べて、人件費として計上しなければならないのだが、その分見えにくくなっている。
さらに、投資対効果という観点から、従来からのPCと仮想デスクトップ、それぞれの方式によって手に入れることができる価値、あるいは手に入れることができない価値(損失)まで比較しなければ、適切な比較にはならないだろう。手に入れることができる価値とは、セキュリティ保護であったり、ワークスタイルの多様性といった、従来のPCでは実現が難しいものである。
仮想デスクトップ導入に踏み切れたユーザー企業は、単なる導入コストの金額比較に留まらず、運用コストや投資対効果の比較を行って、トータルな観点で判断を下している点に注目したい。