これまで「デスクトップ仮想化」は、効果やメリットは認めつつも、導入コストやパフォーマンス面での課題、新しい技術を採用することへの懸念やスキル不足などの理由から導入に二の足を踏んでいる企業が多いのが実情だった。だが、モバイルやタブレットなどのビジネス利用も進み、仮想化の技術革新とサービスが増加している現在、積極的にデスクトップ仮想化を採用する企業が増えてきている。そこで今回、主要ベンダーの有識者にお集まりいただき、デスクトップ仮想化の現状や課題、失敗しないためのポイント、今後の動向などについて議論いただいた。(モデレーターは、日本仮想化技術株式会社の宮原徹氏)

- 本田 豊氏(ヴイエムウェア株式会社 マーケティング本部 シニア プロダクト マーケティングマネージャ)
- 竹内 裕治氏(シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社 テクノロジー&ソリューションズ シニアマネージャー)
- 高添 修氏(日本マイクロソフト株式会社 デベロッパー&プラットフォーム統括本部 ITアーキテクチャー推進部 エバンジェリスト)
- 宮原 徹氏(日本仮想化技術株式会社 代表取締役社長 兼 CEO)
昨今の「デスクトップ仮想化(VDI)」導入の動向

宮原:今回はデスクトップ仮想化(以下、VDI)についての現状や今後について、また活用のポイントなどをお話いただきたいと思います。Windows XPのサポート切れやタブレット活用を背景にVDI導入に前向きなお客様が増えて「ようやくきた」という気がする一方、導入コストが依然として壁として立ちはだかっている気もします。それぞれ最近の状況をお聞かせください。
本田:VDIに対するお客様の理解や導入意欲の高まりによって、案件の数は年々増えてきています。ご指摘のようにWindows XPのサポート切れはひとつのきっかけとなっていますが、Windows PC以外のマルチデバイスでWindows アプリを使いたい、オフィス以外の場所で業務する際に、端末の盗難や紛失による重要なデータの流出のリスクを回避するためのセキュリティ対策を行いたい、というような新しい使い方を検討されるケースも増えてきました。
竹内:セキュリティ対策としての要件はベースラインとして安定しており、ことさら大きく変化していないという印象です。一方、タブレットやスマホなどモバイルはトレンドとして高まっており、そこに相性のいいテクノロジーは何かと探求されるお客様が増えてきています。5~10年前と比べてお客様の意識は変化してきて、よりビジネスの成長につながるデスクトップ仮想化を考えるお客様が増えてきているように感じます。
宮原:確かにビジネスでの事例が変化してきていますね。かつてはセキュリティ保護や業務アプリの延命を目的としていたところが、最近ではWordやExcelなど非定型業務をモバイル環境で使うためというケースも聞くようになりました。
高添:マイクロソフトはVDIありきの立場ではありませんが、それでもVDIベンダーの1つとしてコメントをさせてもらうと「高度なVDIを求めているわけではなく、ただリモートからWordやExcelを使いたい」という要望もあり、そのようなお客様にはMS VDIのシンプルさが受けているように思えます。また最近では組み込み機器向けのチームと連携するケースが増えてきています。組み込み機器でやりたいことが増えるなか、リソースには制限があるため、VDIを用いるというパターンです。お客様はVDIであることはあまり意識せずに使えます。
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加山 恵美(カヤマ エミ)
EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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