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やっぱり○×表だけは勘弁?
谷川:ここ1~2年、クラウドの勝者はIaaSの雰囲気があります。ただIaaSだけだと、将来的にはクラウドのメリットのほんの一部しか使わないことになりそうで、よくない傾向かと思います。PaaSを先行させたMSには優位性をもっと示してほしいし、それが発揮できるようなサービスであってほしいです。
佐藤:PaaSと呼ぶものがベンダーによって解釈やレイヤーが異なり、分かりづらいのだと思います。今後アプリケーションのモデルがどうなっていくかは言えないこともありますが、ご期待いただければと思います。
谷川:ところで、シックス・アパートはIaaSをどう見ているんですか?
柳下:2年前から、ある程度の大規模のサイトだとコストメリットを考えてIaaSを採用したがる傾向があります。そこで「AWS以外の選択肢もないとだめだよね」と考えてAzureに乗り出したという背景もあります。
ただし、AWSもAzureもみんな苦労してます。何をどう使っていいのかが分からない。アプリケーションを設計する感覚でインフラを設計していかないと、コストパフォーマンスをいかせない。今のAWSをベースにしたIaaSの構築というのは、スキルのあるエンジニアがアプリのようにインフラを設計していけないと難しいでしょうね。それができるところはやればいいですが、圧倒的大多数はできないでしょうね。
谷川:そこにAzureを選ぶ余地はありますか?
柳下:シックス・アパートとしては、MTでコンテンツを出していくなら、MTのクラウド版を使っていいただきたいというのもあります。でも実際にWebサーバーとしてお客様の環境向けにデプロイするのは「Azure Webサイト」でやってもらったほうがいい場合も多い。圧倒的大多数の人たちにはAWSで組むよりも、Azureを選んでもらいたい。次のテーマは「Azure Webサイト」だけでMTができるようにすることです。
谷川:問題なさそうですか?
柳下:たぶん。すでに動かした人がいます。ただ、動かしただけでは、我々のサービスのQAレベルに至っていないのでまだ調整が必要ですが。
谷川:新しい世界になっていくんですね。
柳下:「Azure Webサイト」って単純にWebサーバーがあるってだけじゃないんですよ。それがちゃんと伝わってくると、いろいろと変わってくる。
谷川:プラットフォームの選択肢が増えていて、その中で機能面で何がというのもあれば、会社の体力的に選ぶべきプラットフォームが決まる場合もある。そのときのクラウドの選び方も機能比較とかコスト比較とかすれば、それこそ○×表にすればできるでしょう。でも、実際にその企業の技術力や体力感とかで、選ぶべきものが決まるのでしょうね。
柳下:○×表には、自社の技術力とか入ってこないですからね。
高山:その場合は「移行コスト:×」でしょうね。
柳下:できないというよりは、どうしたらいいか分からないでしょうね。おいしいとなれば向かいたいけど、道がいくつもあってどこからやったらいいのか分からない。MS、がんばれ!(笑)
座談会を振り返って…
以上、Azureへの移行について赤裸々な意見を語ってもらった。もっとも、赤裸々というには、若干優等生すぎたかもしれない。結局のところ、いくつか癖もあるけれど、2年間で大幅に進化したWindows Azureであればオンプレミスからの移行で苦労することはなさそうだ。あとは、石橋をたたいても渡らないような保守的な人たちに、メリットをどう理解させるか。一足飛びにPaaSの世界に行くのではなく、まずはバックアップから徐々にクラウド率を高めていく。そんな提案が必要なのかもしれない。その際には、ぜひ真の意味でのハイブリッド・クラウド、つまりは、クラウドもオンプレミスも、ユーザーから見たら1つのシステムに見えるようなシステムのあり方を、マイクロソフトには提案して欲しいと思うところだ。(谷川耕一)
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