社内SNSは機能が多ければ良いというものではありません。また同じ機能でも各社によって位置づけや仕様も違います。自社の特徴や利用シーンを考えて、各製品のコンセプトや利用シーンを理解し、最も自社に合う製品を選ぶのが大切です。今回は主要製品の向いている対象や利用シーンを紹介するとともに、ツール選定後に準備するべき運用体制や運用ルールを作る際のポイントを紹介します。
機能比較表や機能の多さで社内SNSを選んではいけない
業務用のシステムの導入を検討する場合、複数のシステムを調査し、比較表を作って検討することが多いと思います。その際に多くの項目を作り、○×チェック表を埋めて、機能の多さで選ぶ会社があります。
事実ベンダー側の私たちも、以前は競合他社にある機能はできるだけ追加するようにし、お客様の要望が多い機能はどんどん増やしていました。その結果、確かに1つ1つの機能にニーズのある会社があり、その会社にとっては必要ではあるものの、全ての機能を利用する会社はほとんどありませんでした。つまり、ほとんどの会社にとって必要ない機能がたくさんある状態になってしまったのです。
ポイント機能が欲しい、日記が欲しい、足跡が欲しい、つぶやきが欲しい。社内SNSと言ってもお客様のニーズは多様です。さらに必要のない機能はON・OFFできるようにしたり、機能名も企業独自の名称に変更できるようにするなど要望に際限はありません。ただそれをやり過ぎると機能数が多過ぎて、システムの設計や運用は複雑になるため、安定性やセキュリティにリスクを抱えることにも繋がります。
最近の製品は、機能の多さよりもシンプルなユーザインターフェース(UI)や、コンセプト、ストーリー、利用シーンを大切にしたユーザエクスペリエンス(UX)を重視するようになっているため、システムを選ぶ立場にある方々も各ベンダーがどういうコンセプトでどういう利用シーンへの提供を狙っているのか理解することが大切です。
そのため、比較しているシステムに同じ機能があったとしても、「どの画面のどの場所にあるのか?」「どういう挙動をするのか?」については、各社の位置付けによって全く違ったものになります。社内SNSを日常業務で毎日使うのであれば、こういった違いは実は使われるかどうかの分かれ道にもなります。
例えば、「社内SNSにグループウェアのスケジュール機能が欲しい」という要望があったとします。そして、最近のグループウェアは社内SNSにあるような機能として、つぶやきやフォロー、いいね!などを実装しているシステムもあるので、グループウェアでソーシャル機能を追加している製品を選ぶとします。
ただ、グループウェアがメインのサービスなので、どうしてもソーシャル機能はスケジュールよりも奥の画面にあったり、よく使う場所にはなく、結果自主的な利用が重要になる社内SNSにおいてはあまり使われることがないとなってしまいます。
ツールを選ぶ立場にある人からすれば、あれもこれもと考えてしまうかもしれませんが、社内の誰が利用し、どういう利用シーンで使うのか、またITリテラシーはどのレベルで合わせるのか、具体的に想定した上で、各ベンダーが提供する社内SNSのコンセプトや利用シーンを比較することが大切です。実際に無料から利用できる主要な社内SNSの製品を比較してご紹介します。
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佐別当 隆志(さべっとう たかし)
株式会社ガイアックス コーポレートコミュニケーション推進部 部長2000年より、ソーシャルメディアのトータルソリューションを手掛ける株式会社ガイアックスに所属。広報・新規事業開発を経て、2007年よりクラウド型の内定者SNS「エアリーフレッシャーズ」を立上げ、「エアリー」シリーズとして人事担当者をを中心に500社以上に提供中。さらに2013年より日常業務で活用できるシンプルな社内SNS「Co...
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