なぜ移行計画が必要か?
以前ご紹介したように社内SNSの失敗確率は90%とも言われています。失敗する大きな要因には、導入するまでを重視してしまい、導入後の定着に向けた準備を疎かにしてしまうことと、ボトムアップで利用者が積極的に自発的に投稿してくれるだろうという甘い見込みがあります。さすがに各社ここ数年で事前の計画や運用が重要だという認識は広まり、成功確率は上がってきていると思われます。
そこでひとつポイントになるのが、すでに導入しているツールからの移行計画です。まずは小規模にテスト導入を実施し、ツールの評価や目的を達成できるかどうかを確認します。その上で、現在利用しているツールの調査と使い分け・見直しなど既存ツールからの移行計画を作成し、段階的に実業務で導入しその効果を検証します。そこで効果が実感、成果や課題に対する解決策が準備できたら、拡大・全社導入へとステップを踏むことで成功確率が高まります。
初めから全社導入を目指すと失敗するリスクが高い上に、影響範囲も広いため上手くいかなかった時に悪い印象を拡げかねません。まずは影響範囲の小さなところから始めて試行錯誤や小さな失敗を重ね、成功確率を上げたうえで展開していくことが重要です。
なかでも、既存ツールを置き換えることができれば、失敗を抑え社内SNSが定着しやすくなります。逆によくある失敗が、すでに様々なツールを社内で導入しているにも関わらず、また新しいツールを増やすことへの現場の抵抗感と、既存ツールと併用することで一部のメンバーしか移行せず情報が分散してしまうことです。
例えば、メーリングリストで基本的な情報共有をしている会社が社内SNSを導入する場合、社内SNSに重要な情報を流すメンバーとメーリングリストしか使わないメンバーがいれば、一部のメンバーに情報が届かなくなってしまいます。そうなると結局両方のツールを見ないといけなくなり、効率が悪くなります。
一方、会議の議事録や日報などメーリングリストに流すルールがあった場合、後から入ったメンバーでも参照できるようにしたり、タグで情報を整理・ストックすることを目的に、その運用をメーリングリストから社内SNSに切り替えるようにすると、日常的に発信している情報の場所(手段)を移すだけなので、移行も簡単で目的も明確だと納得感も高まって定着します。