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IT産業を革新するサービスサイエンス入門

サービスの標準化なんて無理という「幻想」~サービスの分類からその本質を考える

第2回


 「サービスサイエンス」はスタートを切ったばかりの学問だ。したがって、まだ定説があるわけではない。そこで筆者は自然科学にならってサービスを分類し、分解し、モデル化し、サービスの特徴を理解することから始めている。今回ではサービスを分類し、サービスの本質に迫ってみたい。

植物の分類を復習する

 自然科学の一例として植物の分類を確認してみよう。

 まず、植物は胞子で増殖する「シダ植物」と種子で増殖する「種子植物」に分類される。そして、種子植物はソテツや松のような「裸子植物」とリンゴやミカンのような「被子植物」に分類される。そして、被子植物はツユクサやイネのような「単子葉植物」とナデシコやタンポポのような「双子葉植物」に分類される。つまり、植物の分類軸は「胞子植物と種子植物」、「裸子植物と被子植物」、「単子葉植物と双子葉植物」……となる。

 太陽の光を獲得するためにシダが高木へ進化し、地球の気候が厳しくなり乾燥すると、それに耐えるために高木が低木や草に進化していった。このように植物を分類していくと、それぞれの植物の特徴や進化が見えてくる。

植物の分類
植物
シダ植物
種子植物
 
裸子植物
被子植物
   
単子葉植物
双子葉植物

自然科学にならってサービスを分類する

 では、自然科学にならってサービスを分類するとどうなるか。

手順・気付き/ロースキル・ハイスキル

 前回でも書いたが、分類するためには分類軸が必要である。まず、サービスを「手順型と気付き型」と「ロースキル型とハイスキル型」という2つの分類軸で分類してみたのが図1だ。

図1.サービスの分類と努力ポイントその1
図1.サービスの分類と努力ポイントその1

 この図からは、手順型・ロースキルのサービスには、「設置サービス」「掃除サービス」「配送サービス」があり、これらのサービスではマニュアル化、手順化、チェックリストがサービス品質の向上に寄与することが見えてくる。

 一方、気付き型・ハイスキル型のサービスには、「コンシェルジェ」「カウンセラー」「コンサルタント」がある。これらのサービスにはマニュアル化、手順化、チェックリストはあまり役に立たず、共感性やビジョン共有、現場への権限委譲が効果を発揮することがわかるだろう。

 また、ロースキル・気付き型サービスである「民宿サービス」や老夫婦がやっている「居酒屋サービス」では人好きな性格や軽妙な会話など、何といっても共感性が大切である。われわれは居酒屋の親父さんやお母さんの人柄や気遣いが嬉しくて通い続けるのである。

 このように、サービスも分類してみると、サービスの価値を高めるポイントや特徴を掴むことができる。

都度・リピート/期待度大・あたり前

 次に、サービスを「都度型とリピート型」と「期待度大型とあたり前型」で分類してみたのが図2だ。

図2.サービスの分類と努力ポイントその2
図2.サービスの分類と努力ポイントその2

 あたり前・都度サービスには、「コインロッカー」や「ビデオレンタル」があり、これらのサービスには安価で、すぐに使えて、手続きが煩わしくないことが要求される。

 これに対して、リピート型、期待度大サービスには「エステサロン」や「有名進学塾」があり、これらのサービスには高い評判と高い効果が必要だが、サービス料金は少々高価でも許容される。ビジネスの観点からすると、リピートで使っていただくことは極めて有難いが、公衆浴場やゴミ収集のような実用サービスは統一価格であったり、公共料金扱いになっており、大きな利益にはつながりにくい。反対に、エステサロンのように料金が高価でも許容されるリピートサービスは大きな利益を生んでくれるだろう。

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自分でできる・自分でできない/実用・感動

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この記事の著者

諏訪 良武(スワ ヨシタケ)

1971年 オムロン入社。85年通産省の∑プロジェクトに参加。 95年情報化推進センター長。97年オムロンフィールドエンジニアリングの常務取締役として、企業変革を実践。 04年OA協会か...

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