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あなたはクラウドに何を載せますか?

edited by DB Online   2014/06/25 14:00

 今やほとんどのシステムはクラウドで動く。よっぽどシビアなレスポンスが要求されるものや、データの機密性が高くクラウドには置きたくないものでもないかぎりクラウドで動かして何ら問題はない。とはいえ、現時点でクラウドにかなり向いているものとそれほど向かないものもあるのは事実だ。

IaaSの効果が得やすい大規模バッチ処理とビッグデータ分析

 IaaSの観点では、先日のビットアイル 高倉氏のインタビューでも話題になったが、バッチ処理やアナリティクスのように処理のピーク時にだけ大きなコンピュータリソースが必要となるものはクラウド向きだ。大手企業の多くで、データの爆発もあり日次バッチの処理が夜間のうちに終わらない課題を抱えている。バッチ処理をなんとかするためだけに、強力なサーバーと高速なストレージを導入する。せっかく高いコストをかけインフラ環境を更新しても、減価償却が終わる前に再び性能が足りなくなりバッチ処理が終わらなくなるのが昨今の状況だろう。

 ピーク時の要求に合わせ必要なリソースをダイナミックに割り当てられるクラウドなら、このリソースの課題も容易に解決できる。たとえば、月に1度の給与計算時だけ処理をクラウドで高速に行う。合併などで社員が急激に増えてもクラウドなら迅速に対処できるだろう。1日の中でピーク処理のタイミングが変動するような場合にも、ダイナミックにリソースを割り当てられるクラウドは向いている。

 一方で、ERPなどの基幹系システムはあまりクラウド向きではないかもしれない。オンプレミスで問題なく動いている基幹系システムを苦労してIaaS化しても、そこにはあまり革新は生まれないのだ。たんにサーバー環境がクラウド上に移動したことになりかねない。

 大規模なバッチ処理やビッグデータのアナリティクスをクラウドに持っていった場合、必要な大量データをどうやってクラウドに持っていくかという新たな課題が出る。クラウド上でピーク処理に合わせたコンピュータリソースを用意し素早くバッチ処理を行えても、データをクラウドに上げるのに何時間もかかれば結局はバッチ処理が終わらないことに。アナリティクスも同様で、せっかく迅速な分析で知見をビジネスですぐに活用したくても、肝心のビッグデータをクラウドに素早く載せられなければ知見の鮮度は落ちてしまう。

 そう考えると、データが発生するところもクラウドに載せたほうがいいことになる。クラウド向きではないとしたERPなどの基幹系システムがクラウドにあれば、データをクラウドに上げる処理はそもそも必要なくなるだろう。クラウドを活用したければ、可能なものはなるべくクラウドに上げてしまうことも考慮する必要がありそうだ。

SaaSに向いているのはCRM、SFA、マーケティングオートメーション

 それでは、SaaSの観点ではどうだろう。先日米国で取材したNetSuiteやSAPなどERPのSaaSも増えている。グローバル展開する際に、拠点ごとにサーバーを入れずにSaaSで対応というのはスマートで迅速な方法だ。しかしながら、もっとも利用しやすいのはSalesforceに代表されるCRMやSFAの世界だろう。さらに、ここ最近注目のマーケティングオートメーションもクラウド向きだ。そもそもマーケティングオートメーション・ツールのほとんどが、すでにSaaSで提供されているのもその証しだろう。

 これらがSaaSで提供される利点は、すぐに利用を開始できるところにある。さらに、初期費用を小さく始められるのも大きなメリットだ。かつてCRMのシステムなどは1年以上の時間をかけ、大きなコストと手間を投入し導入されるものだった。それだけ手間をかけて導入してもなかなか使いこなせない。結果的にCRMの導入は失敗プロジェクトと言われることが多かったのだ。

 これがSaaS化されたことで、とにかくすぐに使い始められる。小さく使いながら自分たちの目的にあった形に成長させられる。そうすることで大きな失敗をせずに、プロジェクトを進められるのだ。このように、すぐに小さく始められるのがCRMやSFA、マーケティングオートメーションがクラウドに向いている大きな理由だろう。

 CRMやSFA、マーケティングオートメーションを本格的にやろうとするとERPとの連携が必須となる。購買のデータやサポートサービスの情報などとの連携なくして「カスタマージャーニー」が完成しないからだ。なのでNetSuiteはERPこそがSaaSで提供されているべきで、すべての顧客情報が一元的に管理できなければならないと主張している。まあそこまでいかずとも、CRMやマーケティングオートメーションをSaaSで活用したければ、オンプレミスかクラウドかは別にしてERPの中にある顧客情報をどのように密連携できるかは同時に考える必要がある。

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著者プロフィール

  • 谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

    EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーター かつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリストとして、クラウド、データベース、ビッグデータ活用などをキーワードに、エンタープライズIT関連の取材、執筆を行っている。

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