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なぜビジネスモデル変革が進まないのか? 企業内イノベーターへの処方箋『ホワイトスペース戦略』

(第21回)イノベーションに効く翻訳書12:『ホワイトスペース戦略』

社内問題を解決するため、「空白を見せる」

ビジネスモデルの類型
▲ 図3:ビジネスモデルの類型

 さて、『ホワイトスペース戦略』は主に「社内問題」の解決に向けられています。実は、社会問題に取り組むためにも、社内の理解がなくてはいけません。そもそもビジネスモデルとは何を指すのか?現在の顧客は果たして新たな価値を提案されるのを待っているのだろうか?それとも、今の製品をより改善して欲しいのだろうか?どういうときにビジネスモデル・イノベーションが求められているのか?これらの問いに対する理解がない状況では、既存の持続的イノベーションプロセスに従ってどんどん突き進むように会社というのはできています。

 まずは、今行っている事業にも「空白」があることを特定し、他のビジネスモデルにも可能性があり、そのビジネスモデルを追求しなければ機会損失になることを組織として理解しないといけません。その理解を促進するためには、「ソリューション工房型」、「バリュー付加プロセス型」、「ネットワーク促進型」といったビジネスモデルの類型は役立ちます。さらに、アマゾンと従来書店とのモデルの違いや、電動工具のヒルティが従来型のハードウェア販売から、工具一式の管理サービスへと変えた事例などは、他の多くの業界にとっても意味のあるものになっています。

どのように変えるのか?どうやって変わるのか?

 前述したように、出版から4年経ち、最近ではビジネスモデルを変換すること自体に対する社内コンセンサスは得られやすくなっています。しかし、一体どのように変えるのか、どうやって変わるのか、という示唆をしている本は非常に少ないと思います。この進め方の不安も「社内問題」の大きな要因です。

 本来無数にあるビジネスモデルを、いくつかの変革パラメータへと分解し、可視化するツールを『ホワイトスペース戦略』では提供しています。これにより、とてもわかりやすく、共有しやすいプロセスが描けます。(ちなみに私はこれを色鉛筆アプローチと呼んでいます。無限に色をつくることができる絵具と比べ、色に制限があることで絵を描くハードルが下がる。同様にビジネスモデルというのは無数に描くことができるが、パターン化することで描きやすくなるため。)

 一つの例を挙げると、支払スキームに関しては、現金orローン、価格は固定or変動、支払人数は一人or複数、等々数多くの変数とパラメータを決めていくことになります。

 もう一つの解決策は、「社内でどのような抵抗が起きるのかというシミュレーション」です。ビジネスモデルの4要素は互いに有機的につながっていて、一つだけを変えることはできません。既存の販売網に乗せられるような新規ビジネスはないか、という相談を受けますが、「既存販売網にそのまま乗っかるようなら、新規ビジネスではなく新製品ですよ」という風に答えています。この各要素のつながりは普段意識されることなく、行動規範であったり、文化であったり、もしくは価値観として暗黙の中に存在しているためやっかいです。こうした暗黙の方針は、コアスペース(既存事業)の推進にはプラスに働く一方で、ビジネスモデルを変革する際にはブレーキとして働きます。財務指標や業務プロセス、さらには各部門の行動規範としてさまざまなところに存在しています。

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「低コスト」「高品質」「革新的機能」に続く技、それが「ビジネスモデル」

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この記事の著者

津田 真吾(ツダ シンゴ)

日本アイ・ビー・エム、日立グローバルストレージテクノロジーズ、iTiDコンサルティングを経て、イノベーションコンサルティングおよびハンズオン事業開発支援に特化したINDEE Japanを設立。HDDの開発エンジニア時代に「イノベーションのジレンマ」に触れ、イノベーションの道を歩み続けることを決意する。その著...

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