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IT導入によって損益分岐点はどんな影響を受ける? -- 損益分岐点分析とその改善(第2回)


 ビジネスはやはりお金儲け。しかし、常にビジネスがうまくいって利益が生まれるとは限りません。ときには、損が出ることもあります。もちろん、売上が多ければ多いほど利益は増えるでしょう。一方で、どのくらいまで売上が下がったら損になってしまうのでしょうか。その分岐点を損益分岐点と言いますが、どんな仕組みになっているのでしょうか。

損益分岐点とは?

 釈迦に説法といわれるかもしれませんが、まずは損益分岐点をあらためておさらいしましょう。図にあるように、売上線と費用線が交差したところ-数学的に言えば、「交点」ですかね-を損益分岐点と言います。

▲損益分岐点の図

 損益分岐点よりも売上が大きければ黒字(益)ですし、小さければ赤字(損)。損と益が分岐するところという意味ですね。図を見れば、比較的簡単に理解できるものです。

損益分岐点を下げるには?

 さて、この損益分岐点、点が右にあればあるほど(正確には右上ですね)利益が出にくく、左下にあればあるほど利益が出やすいと言えます。

 つまり、経営としては、左下にあれば良い収益モデルということになります。結果、経営者としてはできるだけ損益分岐点を下げ、たくさん売上が上がらなくても利益が出るような体質を目指したいはずです。

 もちろん、そういう体質にしておけば、売上が上がった時もたくさん利益が出るようになりますから、その方が良いという訳です。

 では、損益分岐点自体を左下に下げるにはどうしたら良いでしょうか。

 方法としては3つあります。

  • 固定費を減らす
  • 変動費率を下げる
  • それを同時にやる

 まず、固定費を下げることを考えてみると、図のようになります。

▲固定費を下げた場合の図

 固定費を下げれば、費用線全体が下がってきて、交点である損益分岐点が左下に下がってくる訳です。簡単ですね。

 固定費として代表的なのはなんでしょうか。

  • 賃貸家賃やレンタル料
  •  水道光熱費
  • 人件費や固定的な外注費 など

 が挙げられるでしょうか。その多くは、販管費といわれる費目です。 良く収益が悪くなると、「リストラクチャリング」や「早期退職優遇制度」といった方法で人件費を削る方向に行く企業がありますね。これはまさにこうした固定費削減を狙ったものと言えますね。

 一方、変動費を下げると図のようになります。

▲変動費を下げた場合の図

 変動費を下げると、費用線の傾きがなだらかになりますので、結果として交点である損益分岐点が左下に下がってくる訳です。 変動費は通常、原価-売上原価や製造原価-と呼ばれるものがほとんどです。ですから、流通業であればいわゆる仕入ですし、製造業であれば部品の購入費や製造の外注人件費といったところでしょう。

 大量購入によって仕入原価を下げたり、外注人件費を下げるためにより安い労働力を求めて海外へ出たりするのは、良く聞く話です。

 以上のような方法で費用線を下げることによって、損益分岐点が左下に下がってくれば、より儲かる体質になるというわけです。

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その下げ方、本当に大丈夫?

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この記事の著者

佐川 博樹(サガワ ヒロキ)

 中小企業診断士。大手電機メーカの生産管理システム企画構築、関連会社のシステムコンサルティング、メディア企業向けセールスエンジニアを経て独立。現在は、中小零細企業向けのシステム導入コンサルティング、ネット活用、各種経営支援を行っている。中小企業診断協会 東京支部 城南支会 常任理事、NPO法人東京城南中小企業診断士会 常任理事。
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