SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

EnterpriseZine Press(AD)

シスコシステムズのBreissinger氏、データ仮想化の先進事例を紹介

データ活用がビジネスと直結

 バークレイズ銀行は、債権のトレーディングで取引がどのくらいのリスクがあるかを分析し引当金の額を決めている。アルゴリズムを使ってリスクをどれだけ正確に予測できるかがカギになる。それによって引当金の額が変わり、収益に直結するからだという。そこで、リスク分析のアルゴリズムをより正確なものにするために、分析に使うデータを拡充することにした。

  従来はOracle Exadataに最新30日分4億レコードのデータを格納していた。30日を過ぎた分は、過去5年分をテープに保存しオフラインで管理し、アルゴリズム作成のためには使用していなかった。そこで、まず、テープに保存していた5年分の過去データをHadoop基盤に移行して、即座にアクセスできるようにした。次に、ExadataとHadoopの上にデータ仮想化レイヤーを導入し、データを統合化して分析できる基盤を作った。

 「SQLでExadataとHadoopのデータの両方にアクセスできるようになったことがポイントだ。バークレイズのアナリストは特別な技術を習得する必要もなく、テープによるバックアップコストとHadoopの構築コストがほぼ同等だったことから追加コストも発生しなかった。リスク計算の精度がかなりよくなったことを受け、さらに、マーケット情報、オンラインデータ、クレジットカード情報など89種類のデータソースを追加した。これにより、売上に占める引当金を最適化し、収益を改善できた」

バークレイ銀行の事例

 コムキャストでは、約4000万人の顧客に対して様々な新サービスを提供している。このサービスを顧客に推奨するための分析にデータ仮想化を応用した。複数の会社を買収して成立した巨大企業であるため、個々のサービスはサイロ化された運用になっており、顧客のデータが複数のシステムに分散されていたが、データ仮想化によって、これらを統合化して、顧客をより理解し、一人あたりの収益性を向上させることを目指した。

 データソースとしては、顧客の課金情報やコールセンターへの問い合わせ履歴、質問項目、トラブルの内容、ECサイトでのクリックストリームデータ、コンテンツの購入履歴、CMのスキップデータ、試聴データなど。このほか、サードパーティが行った顧客調査のデータや人口動態データなど、あわせるとデータソースは20以上になったという。

 「コムキャストの場合、データソースは、クラウド上と社内オンプレミスであったり、形式もさまざま異なっていた。そこで、これらを仮想化レイヤですべて統合してマーケットデータを扱う論理的なDWHを構築した。構築はわずか3ヵ月で完了し、このDWHを使ってOne to Oneのマーケティグを展開したところ、新サービスの採用率が5~6倍向上した。最終的に売上高を2100万ドル押し上げる効果が得られた。このプロジェクトの初年のROIは10倍に達した」

コムキャスト社の事例

 セッションの最後に紹介した石油会社のケースは、油井から送られてくる、圧力や温度、流量などのテレメトリデータから故障などを予測し、部材調達を最適化している取り組みだ。もともと、個々の油井のテレメトリデータをサンプリングしそれぞれで予測を立てていたが、精度がよくなかった。

 そこで、油井それぞれのデータをデータ仮想化レイヤで統合し、統一的なデータとして分析を行うことにした。さらに、財務データやサプライヤーのデータなど、45以上のデータソースを統合。サプライチェーン全体で最適化を図っていった。

 「従来の手法とくらべて50%のコスト削減になり、年間では200万ドルのコストセーブを実現した。また、シングルソース化したことで、マネジメントから新しい質問が出たときなどは、3倍速く回答できるようになった」

 Breissinger氏は最後に、データ仮想化の利点として、データに直接アクセスできるため経営へのインパクトが大きいこと、常に最新のデータを使うことができるためビジネスに俊敏性が得られること、既存資産をそのまま利用でき、不要なデータマートとそれを実現する大量のハードウェアを削減できるためコスト削減につながることを説明。IoE時代に適したデータ分析基盤構築のアプローチであることを強調した。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
EnterpriseZine Press連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

齋藤公二(サイトウコウジ)

インサイト合同会社「月刊Computerwold」「CIO Magazine」(IDGジャパン)の記者、編集者などを経て、2011年11月インサイト合同会社設立。エンタープライズITを中心とした記事の執筆、編集のほか、OSSを利用した企業Webサイト、サービスサイトの制作を担当する。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/6051 2014/08/07 13:31

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング