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マイナンバー制度がやってくる


 DB Online読者の皆さんなら「マイナンバー」という言葉は当然耳にしたことがあるだろう。これは国民総背番号制などと言われていたもので「社会保障・税番号制度」とも言う。2013年5月に「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」が国会で成立し、2016年1月からこのマイナンバーの利用を開始することが法律で決まっている。つまり利用開始までに残された時間は1年半を切り、今まさにそのための準備が着々(?)と進められているところなのだ。「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律別表第一の主務省令で定める事務を定める命令案に対する意見募集(パブリックコメント)」なども、この8月1日から始まっていたりもする。

自治体などは今まさにマイナンバー制度導入の対応に取組中

 日立コンサルティングで日立グループの「番号制度導入支援コンサルテーション」の取りまとめを担当した山口信弥氏によると、今回のマイナンバー制度は「まずは社会保障、税、災害対策という3つの分野で導入して利用が開始されます」とのこと。マイナンバーの導入で、税、社会保障については給付と負担の公平化を図り、それらに関わる行政事務の効率化を目指すことになる。さらに、行政機関から国民にプッシュ型の行政サービスを行うなどで国民の利便性の向上も期待されている。

 2016年1月からの利用開始が迫り、スケジュール的には2014年はこのマイナンバー制度用のシステムを開発し具体的な運用準備をしているところだ。基本的なシステムはほぼ2014年度中に開発を終え、2015年の作業としては連携テストなどが中心となる。今後の重要なマイルストーンとしては、2015年10月には個人番号の付番、通知が開始される。そして2016年1月に利用を開始し、2017年1月には国の機関の情報連携が開始、同年10月には地方公共団体の情報連携が始まる。

マイナンバー制度導入までのスケジュール

 新たに付与されることになるマイナンバーは、既存の住民基本台帳ネットワークシステムに登録されている住民基本台帳の個人番号データをもとに決められ配布される。住民基本台帳とマイナンバーの突き合わせだけならば問題ないが、これが自治体で運用しているさまざまなシステムのデータと突き合わせとなればなかなかうまくいかなさそうだ。たとえば住所表記が異なっていたり、名前で使っている漢字が違っていたりということがあれば、機械的に付き合わせできない可能性がある。まあこのあたりは、銀行などでさんざん名寄せ作業をしているはずなので、システム的なノウハウはすでにあるとは思う。自治体が影響を受ける事務作業は50ほどあるそうだ。それらに対応するために、これから地方自治体などは右往左往することになるのだろう。

民間企業も待ったなし

 一方、民間企業はマイナンバーでどのような影響を受けるのだろうか。マイナンバーは「法施行後3年を目処として利用範囲の拡大について検討する」こととあり、つまりは民間への利用拡大も当然視野に入っている。法施行からまだ3年あるのかと、安心してはいられない。給与からの税徴収や社会保険関連は、マイナンバーの利用が開始されれば企業がすぐにでも対応しなければならないからだ。

 具体的には税務署に提出する法定調書や社会保険関連で提出する書面などに、従業員のマイナンバーを記載することになるようだ。従業員にマイナンバーの提供をしてもらい、人事給与システムなどにそれを反映しなければならないだろう。当然ながら、人事給与システムなどは現状ではマイナンバーを入れる仕様となっていないので、それを行える改修が必要になる。パッケージ製品を使っていればバージョンアップなどで対応するだろう。自社開発ならば、なんらかソースコードの変更なりも必要になる。

 従業員が数十人の会社ならばあまり問題にならないかもしれないが、数千人規模の企業ではどうやってマイナンバーを従業員から提供してもらい、それをどう管理するかの運用プロセスの構築も必要になる。これはむしろ人事給与システムの改修より手間と苦労を伴うかもしれない。提供された番号が本当にマイナンバーなのか、間違って入力していないかなど運用上の不具合をどう回避するのか。さらにはこれまでは5,000件以下の個人情報しか扱っていなかったので個人情報保護法で言うところの「個人情報取り扱い事業者」の適用外だったような中小規模の企業でも、マイナンバーは「特定個人情報の安全管理措置」が別途必要となる。

 前述の日立コンサルティングでは、マイナンバーに関わる課題を解決するために、まずは自治体や自治体と同様な対応をしなければならない健康保険組合などに対し「番号制度導入支援コンサルテーション」のサービスを提供する。法律に基づいてどのような対応をしなければいけないのか、業務、システム、組織などのスコープを整理しシステムへの影響面、業務での影響面などを調査し導入計画を支援する。さらには、プライバーシーやセキュリティ対策などについても検討し、実現までの実施事項やスケジュール、体制構築などをサポートすることになる。これは導入時だけでなく、導入後の運用フェーズについても対応する。

日立コンサルティングの番号制度導入支援コンサルテーションサービス

 民間企業に対してはそれぞれの企業規模などによっても対応が異なるので、日立コンサルティングでは個別の対応をとるとのことだ。兎にも角にも、まだ先のことと思っていたマイナンバー、じつはすでにその対応を始める時期を迎えている。民間企業であれば、まずは自分たちが利用している人事給与システムなりがマイナンバー対応がどうなっているのかくらいは早急に調べておくといい。それに合わせ、マイナンバー対応のプロジェクトチームなりを立ち上げる必要がある企業もありそうだ。

 今後、ここDB OnlineやEnterpriseZineでも、マイナンバー制度導入の課題や効果、さらには導入後に懸念される問題、マイナンバー制度を活用することで生まれる新たなビジネスチャンスなど積極的に記事として取りあげていきたいと考えている。マイナンバーに関する有用な情報があれば、是非編集部まで一報を。

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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