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業界ごとに違う原価構造--各業界の原価構造の特徴とITの効果とは?(第3回)


 ビジネスのやり方が違えば、当然原価構造が違います。いくつかの業界を取り上げて、その原価構造を見てみましょう。それぞれの業界に特徴的な原価構造はあるでしょうか。あるとしたら、その原価構造に対してどんなサポートがITでできるでしょうか。また、自社の属している業界と似た業界はないでしょうか。

ここでの原価構造とは

 さて、前回まで2回にわたってビジネスとお金の基本的な考え方、損益分岐点の概念などについてお話ししてきましたが、いかがだったでしょうか。

 今回は、業界ごとに違う原価構造を概観してみます。

 ここでいう原価構造というのは、損益計算書でいう、「売上原価」や「製造原価」のことを言います。ビジネスではこれ以外に「費用」として、人件費や家賃、保険料や減価償却費などがあります。しかし、ここではこれらについては、付随的に説明することにします。

 この時点で「えっと、損益計算書って…」となった方は、第1回をお読みいただいたり、一般的な「損益計算書とは」という文章をどこかで読んでみて下さると助かります。

 では、大きく製造業とサービス業を取り上げて原価構造を考えてみましょう。といっても、具体的にイメージできないとなかなか難しいと思いますので、大きく枠を作りながら、具体的な例を挙げて考えてみましょう。

製造業は、材料費が多い

 それでは、まず製造業から見てみましょう。日本の製造業といえば、やはり自動車産業や造船、電気機器や部品といったところでしょうか。

 私自身が楽しく原稿を書くため(笑)、日本独自の発展を遂げている文房具メーカーを選んでみましょう。株式会社パイロットコーポレーションさんです。情報は、有価証券報告書を集めてある「EDINET」から拝見したものです。(ちなみに、同社のIR情報は、こちらからご覧になれます)

 連結決算になっているので、同社の単独の損益計算書を見てみます。H25年1月1日~12月31日の製品売上高は、27,429百万円(すごい)。そして、製品製造原価は、17,773百万円(これも大きい)。

 約65%が製造原価になっています。逆に言うと、粗利益率は35%ですね。

 さらに、製造原価明細書を拝見します。材料費が44%、労務費が22%、経費が34%というところですね。やはり材料費の割合が多いですね。

 経費の18%は外注加工費になっていますから、こちらも半分弱はもしかしたら外注先で材料などを買っているかもしれません(材料は支給の可能性もあります)。


 

 こう見てくると、やはり、材料費は結構多くの割合を占めていますね。製造業だから当然といえばそうです。

 ただ、最近は「ファブレス」というビジネスモデルもありますね。製造業を謳いながら、実際には企画、設計のみ行い、実際の製造は外注に出しているというものです。

 パソコンなどでは、かなり進んでいますね。日本や米国で企画設計はするものの、製造自体は台湾の工場に依頼して作っているなどというのは、たくさんあります。(ちなみに、製造を受ける方をファウンダリーとか、EMSとか呼んだりするようです)なので、これからの製造業はまた変わってくるかもしれませんね。

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サービス業は、やはり人件費が高い

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この記事の著者

佐川 博樹(サガワ ヒロキ)

 中小企業診断士。大手電機メーカの生産管理システム企画構築、関連会社のシステムコンサルティング、メディア企業向けセールスエンジニアを経て独立。現在は、中小零細企業向けのシステム導入コンサルティング、ネット活用、各種経営支援を行っている。中小企業診断協会 東京支部 城南支会 常任理事、NPO法人東京城南中小企業診断士会 常任理事。
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