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意志決定のためのデータサイエンス講座

はじめに機械学習の話をしよう


 アクセンチュアの全世界組織であるアクセンチュア アナリティクスチームが贈る「意思決定のためのデータサイエンス講座」。連載第一回はチームを率いるデータサイエンティスト・工藤 卓哉氏が、最近注目されている機械学習の解説とこれからの記事の概要を紹介します。

機械学習とプログラミングはどう違うのか?

 「技術的特異点」という話を聞いたことがおありでしょうか。古くはエニグマの暗号解読で著名な計算機科学者アラン・チューリングが1951年に機械の思考について言及していますが、コンピューターサイエンス領域における「収穫加速の法則」を前提に、レイ・カーツワイルらにより提唱されたこの概念は人間の知能増幅が可能となったとき出現すると言われています。一見遠い未来の話に聞こえるこの概念を支えるのが、実は今持てはやされている機械学習を含む人工知能の領域になります。人工知能というとなんだか難しい気がします。機械学習というと魔法のようなニュアンスすら感じます。そこでまず概論では、機械学習と静的なプログラミングとの違いを、実際にやりとりした娘との会話を元に簡単に説明していきたいと思います。筆者はアメリカ国籍の娘とは普段から英語で会話しています。

 

Raspberry Piで遊ぶ筆者の娘たち

 

「Daddy, how does the tank know where to go?」(パパ、なんでこの戦車は自分で曲がるの?)

 ある日娘に自作の組み込みプログラムを実行できる小型基板「ichigojam 」の電子工作のデモを見せていた時、突然こんなことを聞かれました。Visual Basicの原型となっている簡単なBASIC言語で数行Codingするだけで自律駆動制御ができるロボット工作です。マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボが開発した子供向けプログラミング言語のScratchや、LinuxベースでPythonなどの一般的なプログラミング言語で動かすことができるRaspberry Pi同様、子供にコンピューターサイエンスやロボティクス、演算処理を教えるのに最適な材料の一つだと思います。私はそれきたとばかりにウキウキして、即座に突っ込みをいれてみました。

Scratch Lab: MIT Media Labにて筆者が2014年9月訪問時に撮影

 

「What do you think? Actually, it is controlled by its sensor information and embedded programming. 」
(そうだね。なんでだと思う?センサー情報と組み込みプログラムがあるからだよ。)
案の定納得していません。そこで、こう言いました。

「Can you go get my book on the desk, please?」
私の書斎の机の上にある読みかけの本を取りに行くよう指示します。彼女はドアを開けて取りに行き、本を抱えて戻ってきます。そこで一言。

「See. You did the same thing. How could you do that?」
(ほら、同じことでしょう。どうして取りに行けたかわかる?)
「I don’t know.」(うーん、わからない。)
 娘が分かるように言いなおしてみました。

「It is the same idea. You have eyes to see just like this tank has “eyes” to figure out distance. It also has a sensor to detect walls. You have legs and feet to walk and move, just like the tank has wheels to turn around. Simple, right? 」
(一緒だよ。ロボットにおけるセンサーは人の目と同じで距離を測るでしょう。戦車も壁を避けるセンサーがあるね。人が歩いたり動いたりするのに脚があるように、戦車も車輪があるから避けられるんだよ。簡単だよね。)

 ここで私が娘に話したことを簡単におさらいしますと、与えた命令(IF文等を含む簡便なプログラムや公式)と、外部情報(センサーからの距離捕捉情報)を起点に、戦車がCPUで演算処理をして自律走行しているということになります。この工作は非常にシンプルですが、コンピューター制御の基礎的な仕組みを網羅していることがお分かりいただけます。

 目となるセンサーの入力デバイスがあり、足となる車輪への動力制御の出力デバイスがあり(組み込みプログラム基板にはCPU、入力ソケット、出力ソケットが立派に備わっていて、必要なのは実際の入出力デバイスやセンサー、電力源のみです)、演算処理を担当するCPUとなる脳が実装されている訳で、余談ですが、組み込み基板が2000円程度で購入できるとは、素晴らしい時代になったものです。

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知能の本質は学習すること

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この記事の著者

工藤 卓哉 (クドウ タクヤ)

Accenture
Data Science Center of Excellence
アクセンチュア アナリティクス 日本統括
マネジング・ディレクター慶應義塾大学を卒業しアクセンチュアに入社。コンサルタントとして活躍後、コロンビア大学国際公共政策大学院で学ぶため退職。同...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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