パソコンビジネスの概況
パソコンは既に広く普及している商品です。日本国内における出荷実績は電子情報技術産業協会(JEITA)によれば、2007年度第1四半期に2.1百万台、第2四半期に2.3百万台、第3四半期に2.2百万台、そして第4四半期に2.7百万台の安定した出荷実績となっています。合計すると2007年度9.3百万台で、前年度の13百万台に比較してかなり落ち込んでいるように見えます。
その原因は、2007年度からデルとヒューレット・パッカードが統計調査から離脱したことによります。統計調査の差分を考慮すると実態としては昨年度と同程度または微増といわれています。
ボリュームもあり安定した出荷実績を誇る商品のパソコンですが、主要メーカーにおいては企業向け出荷と消費者向け出荷が半々程度といわれています。しかしながらどちらかというと消費者志向の強い製品です。
パソコンビジネスの環境分析のポイント
環境分析、セグメンテーション、ターゲット選定を実行することはソリューションビジネスマーケティング、コンシューマービジネスマーケティングのいずれにも共通する活動であることは前回申し上げました。最初に大きく視点が異なる環境分析から見ていきます。
ここに環境分析例をあらわす簡単なシートがあります。
このシートでソリューションビジネスとコンシューマー(パソコンビジネス)の注力するポイントの違いがわかります。パソコンビジネスの環境分析の外部分析で注力するセルを2、3選んでみてください。回答例は次の図2です。
環境分析のマクロ分析では、主に「人口」や「文化」に注意を払います。パソコンは、現在では使える人がいる家庭にはほとんど行き渡りつつある商品であり、「人口」動態に需要が左右されることによります。中学生以上は顧客とされ、最近は65歳以上の高齢者もターゲットになりつつあります。
一方、「文化」といっているのはゲーム機、携帯電話、TVなど、パソコンの一部の機能を代替する商品と利用シーンです。これらも直接的な競合商品ではありませんが見逃せません。「科学技術」はCPU、メモリ、ハードディスク等の主要部品が技術進歩とともにモデルチェンジし新しいタイプに変わっていくので注意を払う必要があります。
ミクロ分析では「競合他社」動向が重要です。いまや各社の製品にそれほど差はありませんが、似かよった商品であるが故に他社製品への細かい調査は重要度を増します。
セグメンテーションは、購入者の年齢、利用シーンなどを想定します。商品開発に際してのターゲットは、現在の販売実績から結果的に消費者、企業の「全体」(全セグメント)をカバーするようにつとめます。もちろん一部では若年層をターゲットにしているメーカーならびに商品もあります。