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週刊DBオンライン 谷川耕一

モバイル活用に積極的な資生堂がIBMを選んだ理由


 2月最終週は、IBMのカンファレンスイベント取材のためにラスベガスに。今回のイベントでIBMがメッセージしたのがハイブリッドクラウドとモバイルファースト・プラットフォーム。ハイブリッドクラウドという言葉自体には、それほど目新しさはない。数年前からたびたび耳にする言葉だ。とはいえ、現実的にこのハイブリッドクラウドを運用していますという企業は、まだまだ少ないだろう。せいぜい、プライベートクラウド的な仮想化サーバー環境を構築し、一部パブリッククラウドとデータ連携しているといったところか。

ハイブリッドクラウドが欲しいのではなく、アプリケーションを動かす最適な環境がハイブリッド

 今回のIBMが見せたハイブリッドクラウドは、そのような「パブリックもプライベートも両方使いますよ」的なものではない。もう少し柔軟にパブリックもハイブリッドも、さらにはオンプレミスも融合させるものだ。データだけでなくアプリケーションもこれらの間で自由に移動でき、バッチ的なデータ連携ではなく適材適所にデータを保存、それをストレスなく透過的に扱えることを目指している。

 このハイブリッドクラウド戦略の中で、今回目玉の発表となっていたのが「Bluemix Local」だ。従来、パブリッククラウドの上でしか使えなかったPaaS環境のBluemixを、プライベートクラウドでも使えるようにするもの。個人情報などはコンプライアンスの問題でパブリッククラウドに持って行けないという話がよく出る。当然ながらそういった情報を扱うアプリケーションの開発や実行も、パブリックではなくプライベートで行いたいニーズはあり、それに対応するのだ。

 ハイブリッドクラウドを活用する際には、どのパブリッククラウドを選びどのようなプライベートクラウド環境を構築するかを考えるのではなく、自分たちがこれから動かしたいアプリケーションをどのような環境で動かせばいいかをまずは考える。多くのユーザーが同時にアクセスするアプリケーションであれば、拡張性の高いパブリッククラウドに置いたほうがいい。しかし、そのアプリケーションの処理にも個人情報に関連することや課金処理などがあるはずだ。それらはプライベートやオンプレミスのほうが都合がいい。つまりそのアプリケーションを動かすのはパブリックかプライベートかと言った択一問題ではなく、アプリケーションを効率的かつ安全に動かすためには、それぞれのクラウドをアプリケーション稼働環境の一部として有機的に捉え展開できる必要があるわけだ。

 自分たちが動かしたいアプリケーションの最適な稼働環境を目指したら、結果的にハイブリッドになったというのがアプローチとしては理想だろう。逆に言えば、アプリケーション側からはハイブリッドクラウドという1つの柔軟なアプリケーション開発、稼働環境があり、要件や効率に応じ複数の環境をまたがって利用できる。その際にできるだけユーザーがクラウド環境の違いなどは意識しなくてすめばよりいい。そういうハイブリッドクラウドが利用できる時代になるには、まだ少し時間もかかるかもしれない。しかし、技術的には実現する要素はすでに揃いつつあるなと思わされるイベントだった。

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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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