ビジョンを新たに「3C戦略」の精力的な推進を約束
代表取締役社長兼CEOのエバ・チェン氏は、まずトレンドマイクロの業績が好調であったことを報告。一方、いまだ世界各国でサイバー攻撃による被害が増大していることに懸念を示し、2月13日に米国で行われたセキュリティサミットへの参加を踏まえながら、企業を越えた国家レベルでの対応の重要性を訴えた。さらに2015年6月にカナダで開催予定の女子サッカーワールドカップのスポンサーでありセキュリティも提供することを紹介し、大きなサイバーイベントでもセキュリティの中心的役割を果たすと意気込みを語った。
チェン氏はあらためて「デジタルインフォメーションを“安全に”交換できる世界の実現」というビジョンを強調し、「進化し続ける脅威の一歩先をいく革新的なソリューションを提供していく」と語る。なお現在のトレンドマイクロの世界全体での売上は、個人35%、法人65%となっているが、2014年は特に中堅・大企業向けが成長している。この背景には、サイバー犯罪者による熾烈な攻撃と、その対抗策として先進的なテクノロジーおよび、検知・分析・対処・保護といったライフサイクル全体を網羅する包括的なソリューションがトレンドマイクロに期待されていることが伺える。
こうしたニーズに対して、トレンドマイクロでは「コンシューマライゼーション(Consumerization)」、「サイバー攻撃(Cyber Threats)」、「クラウドと仮想化(Cloud & Virtualization)」の3領域の変化を意識。クラウド型セキュリティ技術基盤「Trend Micro Smart Protection Network(SPN)」の更なる技術革新とともに、脅威の3Cに紐付けた「3C戦略」として、「ユーザー保護の徹底(Compute User Protection」「カスタムディフェンス(Custom Defense)」「クラウド&データセンターセキュリティ(Cloud & DataCenter Security)において、多くのパートナー企業と連携し、ソリューション強化を行なっていくという。
現在「ユーザー保護の徹底」ではガートナーの調査で13年連続して“リーダー企業”と認定。「カスタムディフェンス」ではHPにDeep DiscoveryをOEM提供するなど、”業界リーダーのお墨付き”を得ているという。そして「クラウド&データセンターセキュリティ」についてはサーバセキュリティ市場で2013年の約28%シェアを含めて何年もNo.1を獲得している。こうした実績のもと、市場が拡大する中でさらなる3C戦略の推進を図り、DeepSecurityのような戦略商材による新たな顧客獲得、そして既存顧客への新たな商材の提案を進めていくという。
チェン氏は「1つのCより2つ、3つのCをご利用のユーザーほど満足度が高く、更新率が高い。複数領域での利用ほど価値が上がるということであり、トレンドマイクロの統合力が評価されてのこと」と自信を見せた。
Office365向け新サービス「Trend Micro Cloud App Security(仮)」を発表
3C戦略における2015年の目玉の1つとして、マイクロソフト「Office 365」の使用企業向け脅威検知サービス「Trend Micro Cloud App Security(仮)」が紹介された。
この特徴は「アプリケーションがクラウド上に保存されていること」にある。つまり、「Office 365」の利用者は、WindowsのみならずiOSやAndroidでメールやファイルを開く。その際に脅威となるものをクラウド上で検知することで、効率的に防御しようというものだ。既知の脅威はもちろん、サンドボックスによる標的型攻撃の検出・遮断も行なえるという。
2015年7〜9月期の提供開始を予定しており、マイクロソフトと連携して「Office 365」ユーザー顧客へのアプローチを図る予定だ。