IoTは「フィジカルな世界」と「情報の世界」を結びつけ、優れたユーザー体験を提供する
エンタープライズストレージ周辺の重要なメガトレンドとして、IoTが新たに加わった。栗原潔氏は「IT業界に新しい言葉が入って来た時には、その意味について混乱が生じることが多い」と語り、本セッションにおけるIoTを次の通り定義した。
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身の周りにある物理的な「モノ」が、インターネットを経由して互いにやり取りしたり、クラウドにデータを提供することで生まれるソリューション。より大雑把にいうと、フィジカルな世界とコンピュータの情報の世界の結びつきが、今まで以上に強まるようなテクノロジー/ソリューション。
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IoTには「モノ」の中にコンピュータが内蔵される組み込み型コンピューティングの文脈と、無線タグ的な文脈がある。
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IoTで重要な要素となるのがユーザー体験。汎用コンピュータ(メインフレームではなく、PCやスマートフォンなどソフトウェアを入れれば何でもできると機器いう意味)でも同じようなことができるが、IoTは今までにないユーザー体験を提供できる。
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「モノ」は汎用ではなく、固定的な機能を提供することが多い。
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「モノ」は本来の価値に加え、インターネット接続による付加価値を提供できることが多い。つまり「ソフトがなければただの箱」ではない。
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言葉的にいうと、ユビキタス、パーベイシブ、アンビエントなどの過去に提唱されたコンピューティングのコンセプトと類似している。ただ、業界、ビジネス、社会に対する影響は、過去と比較して大きくなっている。
- 類似概念としてM2M(Machin-to-Machine)という言葉があり、IoTの関連分野といわれることがあるが、IoTとM2Mの関係は様々な考え方がある。M2MはIoTの一分野と考えるのが無難。
では、どのような領域がIoTの方向へ向かっているのか。もともとIoTという言葉は、無線タグ業界から出てきた。それが今日では、様々な人たちがIoTという言葉を使い、多くの「モノ」をIoTに取り込もうとしているため、複雑で分かりにくくなっている。
そもそも「モノのインターネット」における「モノ」とは何かについても考えてみる必要がある。
気をつけなければならないのは、一つのテクノロジーだけであらゆるIoTの形態に対応するのは難しいということだ。たとえば通信プロトコルは、「モノ」のタイプに応じた技術選択が必要になる。