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MySQLで高可用性の新標準となるか?SCSKがOracle Clusterwareを実機検証した!

 Oracle(R) Real Application Clusters (Oracle RAC)経験者にはおなじみのツールとしてOracle(R) Clusterwareがあります。実はこれが2014年夏に正式にMySQL Enterprise Editionに対応しました。これを受け、MySQL技術のトップエンジニア集団を自負するSCSKが「本当に使えるのか。提案する前にきちんと確かめたい」と検証を行いました。SCSKは、MySQLの案件を数多く手掛けるだけでなく、自社においても社員1万人が使用する基盤システムでMySQLを活用しており、 技術的なバックグラウンドがあります。また、MySQLのプロフェッショナルに加え、同じチームにはOracle Database、特にOracle Exadataのプロフェッショナルもいるとのこと。今回、対談に登場するのは、これまで数々のMySQL構築案件に携わり、可用性に関する問題をいくつも解決してきたSCSKの廣濱顕司さんと、日本オラクル社のMySQLのスペシャリスト梶山隆輔さん。お二人に検証結果を踏まえて、本音のところをお話しいただいた様子をお届けします。

Oracle Clusterwareは日本企業の中で本当に使いものになるのか。

SCSK 廣濱 顕司さん(左)とオラクル 梶山 隆輔さん(右)
オラクル 梶山 隆輔さん(左)と、SCSK 廣濱 顕司さん(右)

 MySQL冗長化の決定版!“Oracle Clusterware + MySQL”検証レポートのダウンロードはこちら

廣濱 今回、MySQLでOracle Clusterware(以下、Clusterware)を検証しました。その結果をホワイトペーパーとしてまとめまして、ようやく公開にこぎ着けたところです。

梶山 すばらしい。お疲れさまでした。ところで検証やドキュメント公開をしようと思ったのはなぜですか?

廣濱 これまでMySQLで高可用性を実現しようとしたとき、手軽にやるならレプリケーション、データ量が少なく軽いトランザクションが大量に発行されるシステムにはMySQL Clusterがありました。しかし、その中間の決定打がなく、各種ベンダーのツールを組み合わせて提案してきました。そうした中、ClusterwareがMySQLに正式対応したと聞きました。

梶山 2014年8月からです。

廣濱 それなら今後お客様に提案することもあるだろうから、検証しようと考えました。分からないものを提案することはできませんから。実際試す前は「本当に使えるのか」と疑問でした。

梶山 検証結果を公開することで、SCSKがノウハウを持っていると分かりますからね。安心して任せられそうです。

廣濱 クラスタ製品で一定期間後のサポート料金を値上げする製品もあるので、お客様にとってはClusterwareでコストメリットが生じるケースもあります。私たちとしてはMySQLのEnterprise Editionを提案するいい理由付けにもできます。「ただし」です。製品として選択肢の1つとなりましたが、本当に使えるかどうかが定かではありませんでした。事例もまだありませんしね。

梶山 まだ正式対応から1年なので、これからですね。日本国内ですと事例として出せるものはありませんが、引き合いはありますよ。

検証してみてわかったこと――「普通に動く」がとっても大事

廣濱 Clusterwareってね、MySQLしか知らない人にはとっかかりがつかみにくいんですよ。

梶山 と、いいますと?

廣濱 マニュアルは日本語化されており、Clusterwareの要件は記載されていますが、ClusterwareはもとはOracle DatabaseでRACを使うためのツールです。どこからMySQLにつながるかわかりにくいのです。たとえばMySQLしか知らない人が「グリッドインフラストラクチャ」と言われても……。うちはOracle Database、Oracle ExadataのプロフェッショナルがいるのでOKですが。

梶山 ああ、オラクル用語に戸惑うと。

廣濱 ええ。ClusterwareはOracle RACで使われており、安定性は間違いないと想像できます。しかし実際に検証して、今後の提案の裏付けとしたいと思いました。想定しているのはMySQLでInnoDBを使い、高可用性を求めるときです。この条件で標準的な構成を確認したいと思いました。

梶山 確かに、InnoDBを使い続けられるかどうかは重要ですね。MySQL Clusterだと高可用性は抜群ですが、エンジンが異なりますからアプリケーションなどに変更が必要となります。

廣濱 ありそうなケースとしては、MySQLでInnoDBを使い、シングル(1台)で運用していたところ、「そろそろ高可用性がほしいね」となったときです。MySQL Clusterだとアプリに修正を加えなくてはなりません。実際、最近あったんですよ。アメリカではレプリケーションを用いていたけど、日本展開しようとしたところ「データロストは困る」ということでレプリケーションが使えず。しかし落ちてもいけなくて、高可用性もほしいと。

梶山 ほかでもあります。当初はコミュニティ版のMySQLで運用開始したけど、高可用性が求められることになった。しかしOracle Databaseに移行するよりはコスト的にも移行作業的にもそのままMySQLを使いたいというケースです。

廣濱 ニーズはあると思うんですよね。それで検証しようと。

梶山:それで、結果はどうでしたか?

廣濱 想定通り動くことが確認できました。

梶山 困ったこととかは? 問題が起きたときの解決方法とか、知りたい情報にはたどり着きやすかったですか?

廣濱 そこなんですが、技術情報が一元化されていなくて。日本語マニュアルはあるのですが、どこから手を付けたらいいのか分からなくて。初めてMySQLでOracle Clusterwareをやろうとしたら、他の人もきっと戸惑うと思うのです。先述した通り、これがホワイトペーパーを作ろうとした動機でもあります。

梶山 確かにドキュメントはこれから整備が必要なものもあります。そこはぜひ要望を出していただければ。日本からの要望は通るようになってきていますので。ただ、概して問題はなかったのですね。

廣濱 「普通に動くね」という最低限の確証は持てました。クラスタソフトは概して目立つ機能を持たず、基本機能が問題なく動くことが大事です。

梶山 それはそれで使う側にはメリットですよね。

廣濱 そうですね。ただアピールするのが難しいです。「これまでできなかったことがこの機能を使ったらできるようになりました」とかはないので。

梶山 今さらですけど、どういう構成で検証しましたか?

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MySQLで高可用性を検討中なら、Oracle Clusterwareを選択してみませんか?

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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