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「機械学習はビッグデータ前提ではない」―Appierが考える本物のAIとは?

 ここ最近IT業界ではAI、人工知能という言葉が大流行だ。ちょっとした学習機能があるか、なんらか人工知能関連技術を使っていれば、それらはすべて「人工知能」として紹介される。そんな中、Appier(エイピア)は、自らを「AIテクノロジー企業」と称する新しいベンチャー企業だ。3年半前に創業し、アドテク分野などでAI技術を使ったサービスを展開している。2015年にはシリコンバレーでも有名なベンチャーキャピタルであるセコイア・キャピタル、日本の有名なベンチャーキャピタルであるジャフコなどから総額約27億円の資金を調達、アジア地域での事業拡大とAIテクノロジーを支える研究開発チームの強化を打ち出している。そんなAppierのCEOで創業者でもあるチハン・ユー氏に、Appierが活用するAIテクノロジーとはどんなものなのか、企業がAIを活用するにはどうすればいいのか話を訊いた。

AIをロボティクス分野以外でも

AppierのCEOで創業者でもあるチハン・ユー氏
AppierのCEOで創業者でもあるチハン・ユー氏

Q:まずは、Appierという会社について教えてください。

ユー:Appierは、クロススクリーン(*)の分野において、AIテクノロジーを使ってイノベーションを起こすべく創業した会社です。1人のユーザーがPCやモバイル端末など複数のスクリーンの間でどのような活動をしているのか、AIによって明らかにします。そして、その結果を使い、企業がユーザーにコネクトするのに最善な方法を提案するのです。

 Appierのスタートは3年半前です。AIの研究者が集まって設立しました。おもに米国で活動していた研究者たちで、私自身も15年前くらいからAIの研究に携わってきました。

 私が研究していたのはロボティクスとAIです。ロボティクスでは自動歩行などを対象に、地形に合わせて動くロボット研究をしていました。ロボティクスやAIなどをどう組み合わせればうまく動けるのかの研究です。長い間研究していく中で、AIをロボティクス以外の、違うフィールドで適用できるのではと考えるようになりました。それを実現するために立ち上げたのがAppierというわけです。

 現在Appierには、アジアパシフィック地域11カ国に100名ほどの従業員がいます。これまでに総額で36億円ほどの資金を調達しました。Appierでは日本市場を重要視しています。日本市場はクロススクリーン分野がかなり進んでいるからです。

Q:クロススクリーンの分野で、どのようにAI技術を活用しているのでしょうか?

ユー:クロススクリーン・インテリジェンスでAIを使っています。顧客のデータをマーケティングや広告展開などに活用する領域でもあり、BIがこれまで手がけてきた分野でもあります。人が行動を起こす理由を、AIを使って見つけ出すのです。それでリアルタイムな意思決定をAIでサポートします。これを行うにはたくさんのデータが必要です。とはいえ、データが多いと人間ではすぐに判断できない、人間が正しい判断をするには限界があるのです。なのでそれをAIが助けます。間違えずに毎回正しい決定を下せるようにするのです。

 人がさまざまなデバイスの上で行っているインタラクティブな行動を把握し、その人に対する適切なアクセス方法を示唆します。その最初の適用範囲がマーケティングでした。もちろんアドテクのような世界だけでなく、他の分野での応用も考えられます。

(*編集部注:1人のユーザーが複数のスクリーンを使う際に、最適なタイミング、最適なコンテンツをスクリーンの違いを超えて横断的に提供できるようにするサービス分野)

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統計的な手法もAIの1つ

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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