ビジネスを変えたければ、”ヒトの動き”を変える
まず、IoTによりビジネスモデルを変革させた1つの例を紹介します。これまで顧客に機器(モノ)を導入していた企業が、ただ売るのではなく安定稼動の仕組みまでを顧客へ価値としてサービス提供するようになるビジネスモデル変革のケースです。
IoTにより顧客企業に設置した機器(モノ)の稼働状況をリモート、リアルタイムで把握することで、何かしらの問題の予兆があれば事前に対応することができ、機器(モノ)の安定稼働をサポートできるようになります。
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図 1 ビジネスモデル変革の例
このケースでは、予兆情報が現場のフィールドサポート担当まで迅速に届く必要があるのですが、これは一筋縄では実現しません。多くの企業において、フィールドサポート担当がアサインされるまでのプロセスは、コールセンタ(故障受付) → 地域マネージャ → 現場のフィールドサポート担当といった多段になっています。全国展開しているような企業ではメンテナンスを実施するフィールドサポートは地域単位に実施されていて、ここでいう地域マネージャとは各地域のフィールドサポートを統括する担当者です。
この全体のプロセス――地域マネージャやフィールドサポート担当といったヒトの動きを――IoTに合わせて見直さないことには、いかに早くに予兆を把握したとしてもプロアクティブなメンテナンスは実現しません。
本連載ではIoTを活用したビジネスモデル変革のために情報システムの全体デザイン(エンタープライズ・アーキテクチャ)がどうあるべきかを紹介しています。その中で、今回はモノとヒトの動きと、データ・アーキテクチャに着目します。(連載の全体像については、第1回「IoTでビジネスモデル変革に成功している企業の共通点」をお読み頂ければ嬉しいです。)
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図 2 今回のスコープ
なぜ、データ・アーキテクチャに着目するのかというと、ヒトの動きがよい企業――つまり、オペレーションが洗練されている企業には、全体のデータ・アーキテクチャがしっかりしているという特徴があるからです。では、しっかりしたデータ・アーキテクチャとは、どのようなものでしょうか。