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週刊DBオンライン 谷川耕一

ビジネスコアのすべてをSaaSで―ネットスイートCTOに訊く


 本格的なERPアプリケーションをSaaSの形で提供しているベンダーは、正解にもまだまだそれほど数多くない。そんな中、SaaS ERPベンダーとしては老舗と言えるのがネットスイートだ。同社のサービスの特長は、ビジネスのトランザクションをクラウド上の1ヶ所に集め、それをプラットフォームとしその上に柔軟なERPアプリケーションを構築していることだ。今回の週報では、ネットスイートの創業者で、会長兼チーフ・テクニカル・オフィサーのエバン・ゴールドバーグ氏へのインタビューをお届けする。

ネットスイートにはビジネスコアのすべてがあるのでそこは作る必要がない

ネットスイートCTO 
ネットスイートCTO 

Q:ネットスイートはプラットフォームに強みを持っているとのことですが、Salesforce.comやOracle、MicrosoftもPaaSには力を入れています。他社のクラウドプラットフォームとの違いは?

ゴールドバーグ:SaaS CRMのSalesforceも以前はあまりforce.comを売りにはしていませんでした。我々もこれまではプラットフォームの良さについては、あまり前面に出してこなかったことを反省しています。とはいえ、我々のプラットフォームでは、他のベンダーが押し出しているようなPaaSのようなことをやるつもりはありません。MicrosoftやSalesforceは、汎用的な何でも構築できるプラットフォームを提供しています。対してネットスイートでは、SuiteScriptとAPIを使って既存のネットスイートのアプリケーションを拡張するためのプラットフォームです。

 パワフルなプラットフォームなので、何でもできてネットスイート以外のアプリケーションを作るのにも使えるかと思われますが、そういったプラットフォームではありません。では、なぜネットスイートでは汎用的なプラットフォームではなのかと言えば、エンタープライズで必要なコアとなるアプリケーションが我々にはすでに揃っているからです。企業が必要なビジネスプロセスはすべてネットスイートの中にあります。なので、ユーザーやパートナーはそこに手を出す必要はないのです。

 Salesforceの場合は、System of Recordが核にはなっていないので。パートナーなどがプラットフォームの上でERP部分を作る必要もあるでしょう。ネットスイートのパートナーは、ネットスイートのサービスの拡張部分を作っています。ネットスイートが行っていないような処理の自動化などを手がけているのです。

 私は、Oracleにいた際にデータベースの上でアプリケーションを開発するような開発ツールの製品などに携わっていました。そういった経験を経て、ネットスイートで拡張機能を実現できるプラットフォームというのは、かなり需要があるものだと思っています。今回、そのプラットフォームを使って、ネットスイート自身でビリングを統合する「SuiteBilling」という機能を提供しました。こういうものを迅速に提供できることは、我々のプラットフォームを誇りに思えるところです。パートナーは、このSuiteBillingの足りない部分を作ることになります。

 ネットスイートのビジョンは、顧客のトランスフォーメーションを可能にし、それをサポートすることです。これを迅速にサポートするのが、ネットスイートのプラットフォームです。

Q:今後、ネットスイートのプラットフォームとしては、どのようなところを強化するのでしょうか。

ゴールドバーグ:ネットスイートでは、小売業向け、あるいはアパレル業界向けなど、バーティカル市場向けのアプリケーションの提供を強化しています。その際、たとえばデータの入力の仕方などが、業界、業種ごとに異なっていたりします。そういうことが簡単にできるようなバーティカル市場向けに便利な機能を強化します。

 それと、ビジネスのグローバル化へのさらなる対応です。国境を越えたビジネスを行う企業にとって使いやすいもの、そしてすべての規模の企業に対応できるようにするための強化もしていきます。

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火星に支店ができるような時代にもクラウドのアーキテクチャは通用する

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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