SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

DB Online Day 2016 Report

PostgreSQLの歴史から将来まで~SRA OSS石井氏に訊く

PosgresSQLで「いける」と感じた瞬間

谷川:当時苦労されたこととか覚えてますか?

石井:今となっては懐かしい思い出なのですが、当時はPostgreSQL以前にオープンソース自体誰も知らないのです。当初3人で毎日炎天下を歩きながら「オープンソースとは」から説明を繰り返していました。散々回ってお客様を獲得しまして、最初のビジネスはサポートではなくてトレーニングでした。

谷川:PostgreSQLを使うためのトレーニングですか。当時としては先進的ですよね。

石井:人に恵まれ、幸福なスタートを切れました。

谷川:PostgreSQLの7ごろからデータベースの完成度が高まってきた印象があります。

石井:実は6の時代にはまだトランザクションログがありませんでした。

谷川:おおお。出し入れしてもそのまま?

石井:何よりも性能が悪かったです。今でも使われているベンチマークのpgbenchで計測すると数tps、一桁で嘘みたいな数字でした。トランザクションログが実装されるのが2001年の7.1でようやく実用的になりました。

谷川: 7.x時代、僕はオラクルにいて営業からPostgreSQLの競合資料を出してくれと言われました。

石井:おっ。

谷川:探したのですが、(アメリカから)「ない」と言われました。当時オラクルはまだPostgreSQLをライバル視していませんでした。

石井:おそらく日本でしか使われていませんでしたから。日本はユーザ会が頑張り、仲間を増やすことができたのです。

谷川:PostgreSQL 7.x当時はVacuumに問題などあり、オラクルはライバル視していなくて、営業には「競合資料はないけど、相手にしなくていい」と回答していました。それが今や オラクルのライセンス契約変更などを契機にユーザーがPostgreSQLへの移行を考えるなんて。時代は変わったと思います。ただ、7.xで使えるようになったとはいえ、まだ苦労があったのではないでしょうか。

石井:いろいろありました。元々英語育ちなので、 日本語があまりちゃんと使えない。文字コードの符号化方式が分かれば実装できるのですが、最終的な確認はやはりできません。そこはインターネットを通じて中国や韓国の人などいろいろと協力をいただき、進めることができました。

谷川:PostgreSQLが「いける」と感じたのはいつ頃でしたか?

石井:2003~4年には軌道に乗ってきたと感じました。2005年にSRA OSSが設立されました。

谷川:7の後半くらいですね。画期的に変わったと感じたのはどのくらいですか?

石井:8.0のWindows対応、9.0でレプリケーションなど、技術的な節目はありました。ただビジネス的には7.4が思い出深いです。派手な変更はありませんでしたが、トランザクションが入り日本語対応して、安定していて。7の最後か一つ前でした。後の9.1やマルチコア対応で性能がガンと上がるのですが、7.4ではひとつ完成されたという印象がありました。

谷川:PostgreSQLの認知が広まったのは8.xと記憶しています。

石井:8の最大の売りはWindows対応です。日本はPostgreSQL自体は海外より先行していたものの、Linux普及自体は海外より遅れていましたから。Windowsユーザーに訴えかけられたのがよかったと思います。

谷川:Windows対応で世の中に広く受け入れられる環境が整ったのでしょうね。8から9はどうでしたか?レプリケーションはオラクルをやっていたら珍しくはない概念ですが。

石井:レプリケーションは9.0になる前から要望がありました。本体ではなく周辺ツールで実装されていました。実は私もpgpoolなど開発していて。最終的に本体に組み込まれるストリーミングレプリケーションは「ステートメントベース」と呼ぶもので、SQLを複数のPostgreSQLに同時に投げて結果としてデータがコピーされるという仕組みです。

谷川:個人的にはPostgreSQLの難しいのは本体とツールの機能を組み合わせるところです。素人が手を出しにくい。

石井:9.0以降はレプリケーションの重要性が周知され始めると、もっと先をと考える人が出始めてPostgresのフォーク百花繚乱の状態になってきました。

谷川:OSSの良いところでもあり、敷居を上げたところでもありますね。石井さんから見てフォークがたくさん出ることはどの見ていますか?

石井:フリーダムと言えばフリーダムなのですが、フォークしたもののリストを見るとかなり増えていまして。ライセンスが緩いのでいくらでもフォークできるのはいい点でありつつも、フォークしたらいつか本体に収束しないとPostgreSQLの成長がなくなってしまう。痛し痒しというところですね。

次のページ
9の進化

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
DB Online Day 2016 Report連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

DB Online編集部(ディービーオンライン ヘンシュウブ)

DB Online編集部翔泳社 EnterpriseZine(EZ)が提供するデータベース/データテクノロジー専門メディア「DB Online」編集部です。皆様からの情報お待ちしています。

Twitter : https://twitter.com/db_online
Facebook : http://www.facebook.com/dbonline.shoeisha

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/8360 2016/08/25 06:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング