OSSだけがビジネスイノベーションを起こせる
「IT刷新が進む中で企業がOSSを第一の選択肢に考えるのはいまや当たり前。さらにはビジネスイノベーションを起こせるのは、OSSだけだとも言われています」と語るのはレッドハット株式会社 執行役員 マーケティング本部 本部長 松原大助氏。そういった潮流の中にあって、コンテナ仮想化によりDevOpsやアジャイル開発を実現するのは、これからの重要なキーワードとなるという。
そんな中で、企業においてコンテナ仮想化の活用を定着させるのが、レッドハットにおける今年の重要戦略4つの内の1つ。そのためにレッドハットはいったい何をしているのか。それを示すためのコンテナ戦略とコンテナの新製品発表が行われた。
「今日はレッドハットのコンテナ戦略を皆さんに理解してもらいたい。1年前にOpenShift Enterprise 3の発表を行い、そこで我々はOpenShiftがPaaSの領域を超えた企業のシステム基盤だと発表しました。その考えは今も同じです」
プロダクト・ソリューション本部 本部長の岡下浩明氏によれば、今回の発表はOpenShiftがPaaSの領域を超えるというレッドハットの新たな戦略に沿ったもの。
コンテナは、アプリケーションのデプロイ、開発、運用の方式を大きく変える。それをレッドハットでは「デプロイと運用の再発明」と表現している。たとえばGoogleでは、毎週2億個のコンテナ・アプリケーションがデプロイされている。これは、Googleにおいて常にアプリケーションが更新され続けている証しだ。そのため、1人の管理者は150万個ものコンテナを管理している。この数の管理は人間業では行えないので、当然ながら「自動化」がなされている。Googleにおけるコンテナによるアプリケーション・デプロイの自動化の仕組みは、究極的にシンプル化されておりそれこそがGoogleのGoogleたる所以だ。
開発者が作ったアプリケーションをコンテナに詰め込み、それをデプロイする。これは、システム管理者から見れば単にコンテナが稼働しているとしか見えない。つまりシステム管理者は、アプリケーションの心配をしなくていいのだ。ところでコンテナ技術は、決して新しいものではない。Solarisコンテナなど、旧くから存在する。「従来のコンテナ技術と何が違うかと言えば、それはポータビリティです」と岡下氏。
またハイパーバイザー型の仮想化とは何が違うのか。ハイパーバイザー型の仮想化では、デプロイされる先は決まってしまう。どこにでもデプロイできるわけではない。それがコンテナであれば、基本的にどこへでもデプロイできる。
コンテナが増えればオーケストレーションが鍵になる
現状の流れを見ていると、アプリケーションのすべてをコンテナ化していくように見える。結果的にどんどんコンテナが増えれば、重要となるのがコンテナ・オーケストレーションだ。コンテナは開発者によって作られて、コンテナにアプリケーションが詰め込まれそれがコンテナ・プラットフォームにデプロイされる。
「開発者は、デプロイ対象は唯一にはしたくないのでどこのコンテナ・プラットフォームで動くかをきちんと管理したい。それを行うのがコンテナ・オーケストレーションのレイヤー。Googleの自動化も、この部分の技術です」(岡下氏)
コンテナ・オーケストレーションを含む統合的なコンテナ・プラットフォームをレッドハットでは提供する。このプラットフォームを使うことで、コンテナのライフサイクルを管理できる。コンテナでは、新しく開発したアプリケーションだけでなく、企業の既存の資産をコンテナに入れコンテナ・プラットフォームにデプロイして利用することもある。あまりにも旧いものは難しいが、コンテナに詰め込むことで旧いアプリケーションにポータビリティ性、拡張性といったメリットが生まれることになる。
「現状、コンテナ・プラットフォームにはさまざまなものがあります。大切なのはコンテナ環境そのものが堅牢であることです。そしてコンテナフォーマットについては、独自性ではなくデファクトなフォーマットを使うべきでしょう。それが今ならDockerです。3つめに必要なのが、オーケストレーションです。ここはKubernetesでしょう。Kubernetesなら大規模なコンテナ・プラットフォームを構築できます。そして4つめに大事なのがコンテナレジストリです」(岡下氏)
これら4つの重要なポイントをすべて網羅しているのが、「Red Hat OpenShift Container Platform」だ。