最高のデータサイエンティストのノウハウを誰でも使えるようにする
そんな中、データサイエンティストのノウハウを誰でも使えるようにしているのがDataRobotだ。同社は、機械学習自動化プラットフォームを提供する企業として、2012年に設立された。保険業界でデータサイエンティストとして活躍し、さらにはデータサイエンティストの技術を競うサイト「kaggle」でも活躍していたジェッレミー・アシン氏とトム・デゴッディー氏の2人が創業者として立ち上げた企業だ。
DataRobotでは、誰でも予測モデルを簡単に使えるようにするため、予測モデルの生成を完全に自動化している。これにより既存のデータサイエンティストのスキルを向上し補完するだけでなく、エンジニアやビジネス現場にいるデータサイエンティストではない人でも適切な予測モデルを簡単に利用できるようにする。生成された予測モデルを使うことで、ビジネスですぐに生かせる予測を行えるようになる。ラジウディン氏は「AIにもさまざまなものがありますが、DataRobotがフォーカスしているのはビジネスインテリジェンスのところです。どうやってビジネスプロセスの最適化ができるかです」と語る。
「このDataRobotの仕組みを開発しているのは、世界最高峰のデータサイエンティストです」と胸を張るは、DataRobotの日本事業責任者としてカントリーマネージャーに就任した原沢 滋氏だ。DataRobotには前出のkaggleでNo1になったことがあるデータサイエンティストが3名いる。
「さらに、CEOやCTOを含め20位以内に入ったデータサイエンティストが多数在籍しています。DataRobotを使うことでそれら優秀なデータサイエンティストである彼らの能力を手に入れることができます」(原沢氏)
日本におけるDataRobotのビジネスは、リクルートホールディングスが2015年11月に米国DataRobotに出資したところから始まった。同年12月にはデータサイエンティストのシバタアキラ氏が1人で日本支社を立ち上げ、2016年1月には速くも第1号ユーザーとの契約を得ている。
その後、2016年7月に新日鉄住金ソリューションズと代理店契約も結ぶことができた。同社はDataRobotの顧客にもなっている。さらに2016年10月にリクルートと一緒にCEATECに出展したことが、1つのここがターニングポイントだったと原沢氏。ここで多くの顧客の関心を集めることになり、それが後の日本での顧客獲得につながったのだ。
2017年2月に、日本に正式にオフィスを開設し原沢氏が晴れてカントリーマネージャーに就任した。日本への投資は米国本社からも約束されており、2017年度末までには10名以上の規模に日本の体制を増員する予定だ。
そんなDataRobotの強味は、「機械学習を自動化すること(原沢氏)」だ。データ分析のツールなどは昔からあるが、DataRobotは予測モデルを作るところを完全に自動化できるのが他のAIや機械学習のソリューションとの大きな違いだ。この予測モデルを自動で生成することでDataRobotが目指しているのが「人工知能の民主化」。
DataRobotではAmazon Web Services上のSaaS版、プライベートクラウド版、オンプレミス版も用意されており、さまざまなのデータを渡すだけで簡単に予測モデルを生成できる。データを渡すとそのデータがどのような分布になっているかを簡単に可視化できる。基礎的な統計結果がすぐに得られ、これだけでもかなり便利だとの声があるとのこと。
データをDataRobotに渡したあとに、データをクレンジングしたり欠損データを補完したりといったことをユーザーが行う必要はない。それらの処理を含めDataRobotにはデータサイエンティストのノウハウが含まれているので、「開始」のボタンをクリックするだけでいい。DataRobotには数千のアルゴリズムがあるが、データを見てその中から30ほどのアルゴリズムを自動的に選び予測モデルの生成を開始する。