ITコンサルティング・調査会社のITRのアンケート調査の結果を見ると、5割弱の企業がオンラインファイル共有製品・サービスをすでに導入済みであり、うち4割の企業ではリプレースの予定もあるとのこと。すでに多くの企業がクラウドストレージを活用しており、さらなる利便性を求め新たな製品やサービスを模索しているようだ。
そんな状況の中、Dropbox Japanが日本での新たなビジネス戦略の説明会を開催した。
「Dropboxはシンプルでパワフルな製品を提供しており、それにより日常の仕事の中で発生する「付帯業務」を削減できる。どこでもどのような形でも、情報をチームで活用できるようにする。この取り組みは上手くいっていて、すでに5億の人たちがDropboxを使っています。そして業種を問わずに革新的で先進的な20万社がDropboxを導入しています」と語るのはDropboxのCTOであるアディティア・アガーワル氏だ。
Dropboxのビジネスは急激に成長しており、直近の実績値の傾向がそのまま続くと仮定した場合、10億ドルの収益を上げる速度はsalesforce.comなどよりも速いと自信を見せる。そんなDropboxの強味は独自性だと言う。ファイルの同期から始まり、現在はチームの同期に焦点を置いている。さらにグローバルのネットワークを拡大してアジア、ヨーロッパ、米国で同期スピードの向上を図っていることも、顧客の評価を得ているところだ。「同期速度は、競合と比べても最速です」とアガーワル氏。
新たなチームのための同期のツールとして提供したのが「Paper」だ。これは新しい形のドキュメント共有の仕組みで「人のアイデアなどを簡単に共有できます。1つのワークスペースをチームで利用でき、これを使うことで会議やメールに費やす時間を削減できます」と言う。Paperは、日本語を含む20の言語に対応している。
使い勝手と同期のレスポンスの良さで評価されるDropbox
勢いのあるDropboxにおいて、日本のビジネスの牽引役として新たに指名されたのがDropbox Japan代表取締役社長の五十嵐 光喜氏だ。五十嵐氏は、前職であるAppleでコンシューマライゼーションITを経験してきた。これは会社が選択したテクノロジーを従業員に使わせるのではなく、従業員の使いたいものを企業が使えるようにすることだ。それにより、実際iPhoneやiPadをどんどん企業が認め使うようになっている。
「その流れがハードウェアからソフトウェア、クラウドに来ています」と五十嵐氏。コンシューマライゼーションITの中でも、Dropboxは面白い存在だと感じ、社長を引き受けた。
五十嵐氏がもう1つDropboxに移った理由が「働き方改革」だ。ここでもDropboxはユニークなポジションにあると判断した。働き方改革でどこでも働けるようにするために、クラウドストレージは重要なツールになる。
「どこでも仕事ができ、必要な情報にすぐにアクセスできるようにする。これを実現しようとすると、問題も出てきます。たとえば自社のビル内にデータを置いていると、拡張性が足りなくなります。そこでクラウドの活用です。クラウドで働き方改革の動きを加速できるのです」(五十嵐氏)
クラウドストレージでDropboxが選択される理由として五十嵐氏が挙げたのが、使い勝手の良さだ。これはまさにコンシューマライゼーションITから来るもの。
「働き方改革を実践する現場の人たちにとっては、ツールの使い勝手は極めて重要であり、Dropboxはこの使い勝手に創業当初からもっとも焦点を当ててきました。そのためのと力みの1つとして、OSごとにネイティブなUIを提供しています。ここは非常に大きなポイントです。すべてをブラウザでやるのは作り手としては簡単ですが、それでエンドユーザーが使いやすいとは限らないのです」(五十嵐氏)。
2つめの採用されるポイントは、同期レスポンスのスピードだ。同期の速さはユーザービリティにも大きく影響する。「Dropboxは業界の中でも非常に同期が速いです。大きいファイルの同期では、格段に競合より速くなります」と五十嵐氏は自信を見せる。レスポンスを良くするにはソフトウェアの改良も重要だが、ネットワークにも大きな投資しているとのこと。たとえばDropboxのデータセンターから直接太いネットワークを日本にも接続している。これにより高速なデータ転送が日本からグローバルの拠点に対しても可能になる。