そんな中、目立った動きはないものの昨年くらいからよく導入事例の話を聞くようになったのが「Service Cloud」と呼ばれる領域だ。これはコールセンターやサポートサービスの問い合わせ管理、さらには顧客とのやり取りのナレッジを蓄積し活用するFAQ機能などを提供するもの。プレイヤーとしては「Salesforce Service Cloud」、「Oracle Service Cloud」の2つがあり、総合的なSaaSの中の1つとして昨今流行の「顧客体験の向上」に貢献するツールとなっている。他にも、Service Cloud領域に特化したサービスを提供するZendeskなども元気がいいようだ。
Salesforce Lightningに対応したSalesforce Service Cloudの提供を開始
「マーケティング・オートメーションとService Cloudのサービスは、一緒に導入される例が多いです」と語るのは、セールスフォース・ドットコム マーケティング本部 プロダクトマーケティング シニアディレクターの御代茂樹氏だ。Service Cloudだけをポイントソリューションとしてではなく、顧客に対応するための統合的なサービスの一環として提供できることが強味だ。
今回機能アップデートが行われたSalesforce Service Cloudでは、コンタクトセンターとの過去の問い合わせ履歴などだけではなく、顧客情報を集約して過去の購買履歴情報やWebでの行動履歴なども含めて総合的に顧客を理解した上で、問い合わせ対応を行うエージェントが回答ができるようになっている。その上で、エージェントの生産性を高める機能も実装されており、ここではEinsteinのAI機能も活用されている。
さらにエージェントをサポートする新しい機能として有効なのが、Lightningベースの新しいコンソール画面だ。以前は対応すべき顧客情報はリスト形式で表示されていたが、Lightningコンソールではこれをタイルベースで見られるようになった。マーケティング本部 プロダクトマーケティング シニアマネージャーで、Salesforce Service Cloudを担当している大森浩生氏は「タイルベースで見ることにより、視覚的に優先順位の高い顧客にすぐに対応できるようになります」と語る。
Salesforce Service CloudではSalesforceの中に蓄積している顧客情報だけでなく、外部のファイルサーバーやクラウドストレージ置いてあるような情報にも統合検索機能を使いSalesforceのインターフェイスの中からアクセスできる。またマクロビルダーの機能を使うことで、定型的な繰り返しの処理や操作などは、マクロ化して容易に自動化できる機能も提供する。