ITインフラ最新鋭化の決定打はCIやHCI導入
Dell EMCが推進するITのトランスフォーメーションを改めて確認していこう。インフラの最新鋭化とサービス提供の自動化を実現することで、IT運用を変容させることを目指している。ITインフラを最新鋭化すれば運用の効率化だけではなく、よりアプリケーション開発に専念できるというわけだ。
決定打となるのがCIやHCIの採用だ。三邉氏は実際の効果をいくつか示した。IDC調査からCIを使用する組織が達成したものを見ると、運用にかける時間を圧倒的に削減できたと分かる。顕著なのが「5年間の平均ROIは518%。つまり7.5ヶ月で投資を回収できた」と三邉氏は挙げる。ほかにも「アプリケーション開発やライフサイクルを55%短縮」「ITインフラおよびITスタッフのコストを36%削減」など、IT部門がコストセンターから素早く脱却して、利益を生むような組織になる可能性も秘めている。
さらにDell EMCのコンバージドシステムでは、ハイブリッドクラウド運用でより有利となる特徴がある。例えばサービスカタログの統合により、パブリッククラウドとプライベートクラウドの相互補完を実現することができる。
三邉氏は海外事例としてオンライントレーニングを提供している企業を挙げた。パブリッククラウドで2000ほどの仮想サーバーを運用していたところ、Dell EMCのVblockでプライベートクラウドへと移行したら仮想サーバー1台あたりの月額費用が1/6まで圧縮でき、SLAも向上したという。運用の規模がある程度大きいとプライベートクラウドへの移行メリットを出しやすい。
ただしプライベートクラウドを使いたいとしても、パブリッククラウドほどすぐに構築できるものではない。そこでDell EMCのCIやHCIである。現場に搬入したらすぐに使えるように組み上げているため、導入までの期間が短くてすむ。俊敏性を実現できる。
ところでCIとHCIはどちらを選ぶべきか。三邉氏は「今後数年間はCIとHCIが共存する」と見ている。現時点では多くの企業が使うようなOracle Database、Microsoft Exchange、SAPなどを用いた業務アプリケーションをいきなりHCIに移行するのはあまり現実的ではないという。しかしCIなら移行のギャップが少なくて、確実に効果も出せる。
実際にVxBlockやVBlockを採用した顧客からは「従来型ITリソースの導入と比較して75%節約できた」「データセンターのフロア面積を72.5%縮小し、電力消費量を54.8%削減できた」「5年間のTCOが以前と比較して30%削減(予想)」といった証言が寄せられている。三邉氏は「われわれはCIもきちんと力を入れていきます」と強調した。
一方、新しい標準となりつつあるHCIはどうか。フラッシュストレージやソフトウェアデファインドなど最新のアーキテクチャを搭載しており、インフラを最新鋭化できる。三邉氏は「CIとの大きな違いは仮想SANです。専用ストレージアレイは不要で、ストレージ機能とアプリケーションが同じサーバー上で稼働できます」と説明する。
HCIはCIに比べてシンプルでスケールしやすく、開発サイクルの短縮やビジネス条件への迅速な対応など、より俊敏性を高めることができる。HCIなら、従来型SANベースのインフラに比べて初期投資費用が低くすみ、細かく拡張できるのも特徴だ。
なお、HCIは「VDI専用」というイメージがあるが、三邉氏は否定する。HCIは従来のワークロードやクラウドネイティブなワークロードまで幅広く対応できる。実際にアプライアンスタイプのHCIだとVDIで使うのは約半分弱で、ほかは複数のワークロードで使うケースが多いという。現在Dell EMCにはHCIだけでも4種類ある。VxRailとXCシリーズはアプライアンスで、Nutanixのソフトウェアを搭載している。VxRackはラック単位で拡張する。