Amazonが実店舗を持つ5つの理由とは?
Amazonは自社ブランドでの実店舗の展開や、最近話題になったWholefoodsの買収など、最近特に実店舗に力を入れているように思えます。「Amazonが実店舗を持つ5つの理由」(5 reasons Amazon is experimenting with physical stores:by The Denverpost 2017/04)によると下記5つを挙げています。
- Amazon最新IT商品(KindleやAmazon Echoなど)の展示場として
- Amazonの買い物体験とは違った実店舗ならではの楽しみを提供するため
- Amazonで発注したものを引き取る拠点として。ユーザーは自宅までの配送料を節約できる。
- 学生などを将来のAmazonユーザーにするため。すでに20店舗の引き取り拠点を大学など学生向け展開している
- リテールにITを使った効率化をもたらすため
特に5番目は興味深い。すでにシアトルにオープンしている「Amazon Go」(参考動画)にはレジがなく、かごに入れて店に出れば、すべてセンサーでAmazonプライムアカウントから決済がされます。そして販売情報が瞬時に伝わり在庫発注など極力持たず、何よりもレジの人件費が削減されます。これらのITを駆使した小売りの業務改革が狙いであるとも考えられます。
さて、シリコンバレーに上陸した今回のストアですが、形態としてはAmazon.comで売られている本の実店舗。つまり「本屋」です。名前は「Amazonbooks」。
Amazonbooksの最大の特徴は、本屋という実店舗でありながら、Amazon上の価格、つまり小売価格より大幅に安い価格で買い物ができることです。そのことはユーザーにとっては大きなメリットとなります。通常の消費者の実店舗もしくはオンラインで買い物をする場所のメリットとして成り立つのは下記です。
実店舗での買い物
メリット:実際に手に取って実物を確かめて購入できる。店員と話しながら買い物ができる
デメリット:人件費と家賃がそのまま価格に転嫁されるため本に限らず価格が高め(値引き率が低い)
オンライン・ECサイトでの買い物
メリット:家賃がないため、また人件費も実店舗ほどかからないため、高い割引率で安く購入可能
デメリット:通販なので決済や配送が心配。実物を手に取れない。接客は基本サイトに掲載してある内容のみ
このような棲み分けをしていましたが、今回のAmazonリテールストアは実店舗のため、実物を手に取ることができ、価格はオンライン上Amazon.comの価格、さらにすぐに持ち帰れるという両方のメリットを享受したストアなのです。
果たして、この店舗が店舗単体として利益が出るかは疑問ですし、立地と店員数を考えてもほぼ赤字でしょう。ですがAmazonにとっては、自社ブランド力をより浸透させるためのショールーム、つまり宣伝広告の一環として考えているのではないかと想像します。
その他、Amazonらしい特徴は下記になります。
- Amazon Echo、KindleなどのAmazonの商品が置いてある。
- Amazon Reviewが見れる。
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人気の3500冊に絞り、本の表紙を見せる余裕を持ったディスプレイ。
*一般的な本屋だと10万冊などざらだそうだ - 同じ本でも在庫は5冊ほどまで。その他の在庫していない本も含めて物流網を活かしてすぐに補充できる体制。
- レジではAmazonのアプリとAmazonIDで、Amazonに登録してあるカードでお支払い。