6月11日に東京都内で開催された「SAS FORUM JAPAN 2019」は、デジタル変革の推進に不可欠な 「Technology」、「People」、「Process」をテーマに、先進的なユーザー事例や最新テクロノジーをはじめとした多くのセッションが行われた。ここでは、SAS Institute Japan Viyaビジネス推進グループのエバンジェリストである畝見真氏による「データサイエンティストの自由度とガバナンスの両立~人材不足から人材活用へシフトし、AI実用化を加速~」の模様をお伝えする。
AI活用に不可欠な「アナリティクス・ライフサイクル」
畝見氏ははじめに、アナリティクス・ライフサイクルについて説明した。ここ数年、多くの企業がAI活用にチャレンジしているが、課題を解決し、ビジネス価値、つまり具体的な成果を上げるためには、アナリティクス・ライフサイクルがキモになるという。アナリティクス・ライフサイクルには、データ、ディスカバリー、デプロイメントの3つの要素があるとした。

ソリューション統括本部 Viyaビジネス推進グループ
エバンジェリスト
畝見真氏
「データ」は、企業内に散在しているデータを抽出し、十分にクレンジングし、加工・変換・結合しデータを準備していくこと。「ディスカバリー」は、準備したデータの中身を探索し、その結果に基づいてモデルを開発していく分析のフェーズ。「デプロイメント」は、開発したモデルを業務に実装するフェーズ。この一連のプロセスを、SASでは古くからアナリティクス・ライフサイクルと呼んでいる。そして、このサイクルを素早く回し続けることで、企業がビジネス価値を創出し、変化への対応力を高めることができる。
そして畝見氏は、このサイクルを素早く回すためには「自由と統制のバランス」が必要であるとした。自由は「選択の自由」であり、データソースはもちろん、プログラミング言語や人材(スキル)、分析手法を自由に選べることが重要。そして分析結果をビジネスに役立てるには、自由度が高いだけでは意味がなく、統制を効かせることが重要であると指摘した。データやモデルに対するガバナンスがあってこそ、信頼あるデータに基づく信頼あるモデルが作られ、そのモデルをデプロイ・業務に実装できるようになるということだ。

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吉澤 亨史(ヨシザワ コウジ)
元自動車整備士。整備工場やガソリンスタンド所長などを経て、1996年にフリーランスライターとして独立。以後、雑誌やWebを中心に執筆活動を行う。パソコン、周辺機器、ソフトウェア、携帯電話、セキュリティ、エンタープライズ系など幅広い分野に対応。
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