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第36回 地図操作からユーザの意図を抽出する キーワード入力不要の地図操作によるWeb検索

情報検索はITにとって永遠のテーマであるが、検索キーワードやインターフェイスからユーザーの意図した検索要求を的確に表現するのには限界がある。そのため、検索式以外の手掛かりを使い、ユーザーの検索意図をできるだけ的確に同定する必要がある。そのアプローチの1つは、ユーザーの検索行為自体に注目することであろう。今回紹介する検索システムの開発事例は、Webのオンライン地図画面を操作するユーザーのアクセスパターンにいくつか特徴があることに着目したものだ。このパターンを分析して検索キーワードを抽出しWeb検索することで、より的確にユーザーの検索要求に応えることが可能になる。

DB Magazine 2007年8月号より転載)

地図操作に検索意図が表われる

 Webコンテンツを検索する場合、検索エンジンにキーワードを入力し、検索結果を得てWebページを閲覧するという方法が一般的です。しかし、検索キーワードを入力しなくても、必要なWebページが自動的に検索され提示されると便利ではないでしょうか。筆者らは、検索を意識しない情報検索技術やクエリフリー(query-free)技術についての研究を行なっています。本稿では、地理情報を取得する際に適用できる、キーワード入力や検索結果表示などの検索プロセスを意識しないWeb検索方式を紹介します。

 現在、インターネットのブロードバンド化が進み、Web上ではGoogle MapsやYahoo! Mapなどのオンライン地図サービスが開始されています。これらのオンライン地図では、ズームインやズームアウト操作により表示領域を縮小/拡大したり、左右上下への移動操作により画面を切り替えたりすることで地理情報を取得できます。また、オンライン地図上には、表示画面上の建物や領域などに関連する周辺情報なども付加して提示することが可能です。

 通常、関連情報として提示される周辺情報は、現在表示されている画面に関するものであることが一般的です。例えば、現在表示されている地図画面内にある建物や領域に関する情報やURLです。しかし、たとえ同じ地図画面を表示していたとしても、そこに到達するまでに表示された画面が異なれば、必要とされる情報も異なるのではないでしょうか。

 つまり、ズームイン操作を繰り返してある領域に到達した場合と、移動操作を繰り返して到達した場合とでは、その意図は異なるはずです。ズームイン操作を行なったユーザーは、その領域に対してより詳細な情報を得たいのだと考えられます。一方、移動操作を行なったユーザーは、その領域と別の領域間の経路に関する情報を得たいのだと考えられます。

自動Webページ検索の原理

 一般に、ユーザーが行なう一連の地図操作は、そのユーザーの意図が反映されているものです。そこで筆者らは、ユーザーの意図を操作履歴から分析すれば、その意図に応じた周辺情報を自動的に提示できるだろうと考えました。具体的には、ユーザーの操作とそれに伴って表示された地図画面の履歴から、地名などの地物名をテキストとして取り出し、それらを検索エンジンにキーワードとして自動的に入力し、それにより得られたWebページを表示するという方式です。

 図1は筆者らが開発した、「オンライン地図におけるユーザー操作を用いたWeb検索システム(Marionette)注1」の画面例です。画面の左側はユーザーが地図操作を行なうオンライン地図ウィンドウ、右側が自動的に検索されたWebページが提示される表示ブラウザです。

注1

 Marionetteは人形劇に使われる糸操り人形のこと。人形の糸操作をユーザーの地図操作に、人形の身振りなどの振る舞いをWebコンテンツに見立てている。なお、人形を「糸」で操ることと、ユーザーの「意図」で検索することを掛けている。

図1ユーザ地図操作を用いたWeb検索システム
図1ユーザ地図操作を用いたWeb検索システム

 従来、旅行の計画などを立てる際にはオンライン地図とWebブラウザの2つのアプリケーションを用いて地理情報を得ていました。例えば、観光地の地理情報をオンライン地図で確認して、周辺の地名を検索エンジンに入力してホテルを検索する、といった具合です。実際のところ、この作業はなかなか手間がかかります。しかし、本システムを使用すると、ユーザーはWebブラウザ上で地図操作を行なうだけで、システムが自動的に関連するWebページを検索して提示します。すなわち、ユーザーの地図操作に連動して、関連するWebページが次々と自動的に表示されるわけです。

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