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「自社開発」やってみたら簡単で楽しかった--東急ハンズ長谷川秀樹氏に訊く(第4回) 

2015/02/18 16:20

 「ヒント・マーケット」というコンセプトを打ち出し、V字回復を果たした「東急ハンズ」。その裏側には、ユニークで型破りな戦略思考と情報システム部門の抜本的な改革があった。果たして「東急ハンズ」改革を支えたIT施策とはどのようなものだったのか。キーマンである長谷川秀樹氏へのインタビューを紹介する。第4回は、「自社開発」にするための決断と課題、そしてメリットなどについてうかがった。(前回の記事はこちら)

未経験者2名を迎えてスタートした自社開発体制

――自社開発するための組織をどのようにして作っていったのですか。

株式会社東急ハンズ 執行役員 オムニチャネル推進部長 ハンズラボ株式会社 代表取締役社長 長谷川秀樹氏

▲長谷川 秀樹氏 
株式会社東急ハンズ 執行役員 オムニチャネル推進部長
ハンズラボ株式会社 代表取締役社長

 2008年10月1日の人事異動で、店舗から3人を情報システム部にスカウトし、2人をエンジニアとして、1人をホスト運用の担当者としました。いずれも業務はわかるけどコンピュータはわからない、大学時代も経験はないという「ど素人」です。初めは良品計画さんの子会社から2人エンジニアを派遣してもらい、教えてもらいつつ開発を進めていきました。通常はコンピュータのプロに業務知識や要件を伝えて作ってもらいますが、逆に、業務知識や要件を熟知している人にコンピュータを教えて作ったわけです。  

 そうして初めて作ったのが「商品カタログ」でした。前者のやり方なら、業務や必要な機能について説明したり、要件を整理したりするのに1~2カ月はかかり、約半年かかるといわれたものです。それが、たった2週間で「できちゃった」んです。さらに店舗スタッフが最も切望していたものだったことから、社内の評価も上々。予想以上の好パフォーマンスに「これはいける」と確信を得ることができました。

――普通は研修期間などがあって、その後業務に入るのが一般的ですが、いきなり開発をはじめたのはなにか意図がありますか。  

 いや、意図も何も「やってみよう」と。そもそも「研修が必要」なんて幻想なのではないでしょうか。自社で開発チームを作るにあたっては、そうしたモヤモヤしていたことを解決しなければ難しいと考えていました。  

 その1つがプログラマーのスキルです。というのも、ベンダー時代に感じたのが、最新技術が登場するとそれを使うのが「優れている」と評価されることでした。当然ながらエンジニアは複数の言語をマスターし、新しい技術にも貪欲で、勉強熱心でした。でも、まったく経験のない人間が自社開発するとなると、一気にPHPだのSQLだの覚えることが多くて大変。一から覚えているようでは、手を動かせるまでには半年はかかるでしょう。それが絶対に必要ならば、社内にエンジニアがいない東急ハンズでは、自社開発など望めません。  

 そんな時に出会ったのが、「ユニケージ」でした。これなら30~40ほどのコマンド を覚えればすぐに何かを作ることができる。そこでスタッフには「1カ月で覚えて、3カ月で何か簡単なものを作ってほしい」と伝えました。業界の常識からしたら、「無茶ぶり」に見えるかもしれません。でも、業界の常識を知らない人間は、「そんなものかな」とがんばるわけです。自社開発におけるエンジニアには、「どんな言語を使えるのか」より「何を作りたいのか」「そのためにはどうすればいいのか」がわかっていればいいのだと実感しました。

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  • EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)

    「EnterpriseZine」(エンタープライズジン)は、翔泳社が運営する企業のIT活用とビジネス成長を支援するITリーダー向け専門メディアです。データテクノロジー/情報セキュリティの最新動向を中心に、企業ITに関する多様な情報をお届けしています。

  • 伊藤真美(イトウ マミ)

    フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ビジネスやIT系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

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