■DevOpsの実践状況
DevOpsの実践状況について調査した結果(参考資料1)、「IT組織全体で実践している」という企業は6.6%、「一部の部門/プロジェクトで実践している」は10.5%、「試験的に実践している」は2.9%となり、合計20.0%の企業でDevOpsが実践されているという結果になった。
さらに、「実践する具体的な計画がある」「実践するかどうかを検討している」「情報収集や勉強をしている」という回答、DevOpsの実践に向けて動き出している企業も多いということが明らかになった。
最もDevOpsの実践率が高い業種はサービス業(運輸、交通、不動産、レンタル、宿泊、娯楽、その他一般サービス)で27.5%になり、IT企業の通信/サービスプロバイダー業(通信、クラウドサービス、インターネットコンテンツプロバイダー、メディア)とソフトウェア/システム開発業(ソフトウェアベンダー、システムインテグレーター)がそれぞれ22.7%と21.4%で続いている。
■DevOpsを実践するに至った要因
DevOpsを実践している企業に対し、実践する主な要因となったことについて質問したところ、「ITライフサイクルの効率化」が34.0%で最も多く、「ITコストの削減」が31.1%と続いた。企業はDevOpsを実践することによって、開発から運用までにかかるプロセスとコストを最適化したいという狙いがある。
「IT部門とビジネス部門の関係の強化」が29.1%、「開発者の時間とスキルの有効活用」が26.2%となっており、組織と人材活用の改善もDevOps実践の動機付けになっている。また、DevOpsを実践している企業の34.0%が「CIO/IT部門のトップ」による強い推進があったことも明らかになった。
■DevOpsにおける課題
DevOpsを実践している企業に対し、実践している中で課題になっていることについて質問したところ(参考資料2)、「取り組んだ効果に対する評価指標が分かりにくい」「各部門間のコミュニケーションが取れていない」「各部門で文化(役割や作業スタイル、価値感など)が異なり統制がとれない」の3項目が27.2%で最も多い回答になった。
特に評価指標の分かりにくさはIT企業での回答が多く、DevOpsの成果を評価できる仕組みが整っていないことが分かる。また、コミュニケーションと文化の課題はIT企業以外での回答が目立っており、IT部門とビジネス部門との間に壁ができている状況にある。
IDC Japanのソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーである入谷光浩氏は「DevOpsを実践しようとしている企業のIT部門は、ビジネス部門との連携を強め、DevOpsのプロセスに適合できる組織と人材の整備を進める必要がある。また、DevOpsの実践効果をしっかり示すことができるように、実践前後で比較できる評価指標を作ることも重要である。DevOpsの効果を経営層やビジネス部門に示すことができればDevOpsはさらに加速し、革新的なビジネスを生む下地になるであろう」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「2017年 国内DevOps市場 ユーザー動向調査」にその詳細が報告されている。