2017年は前年比5.4%増の598億円、それまでの前年比成長率10%前後から鈍化
MPDSは、企業のオフィス出力環境の現状を分析した上で、最適な出力環境を構築、その環境を継続的に維持/運用していくアウトソーシングサービス。MPDS導入によって、出力環境に関するTCO(Total Cost of Ownership)の把握/削減、出力管理業務プロセスの効率化、環境負荷軽減といった効果を期待することができる。
IDCが調査を開始した2009年以来、国内MPDS市場は常に前年比成長率10%前後の高いペースで成長を続けてきた。しかしながら、2017年の実績は、5.4%の成長に留まった。近年、MPDSのコモディティ化に伴って、プリント環境改善ニーズの高いユーザー企業への販売が一巡したこと、また多くのベンダーがMPDSをベースとしたソリューション提供の価値を訴求しきれていないことなど、複合的な要因が成長鈍化の原因であるとIDCではみている。
2017年の国内MPS市場のベンダー別売上額シェアトップは、富士ゼロックスで売上額シェア58.5%、第2位はリコーで同17.9%、3位はキヤノンで同13.1%だった。その他のベンダーは、同10.5%だった。昨年に続いて、2017年も富士ゼロックスがシェア1位を維持している。上位ベンダーのシェアに大きな変化はなかった。これは、MPDSのコモディティ化によってベンダー間の差別化が難しくなったためと考えられる。
高い価値を提供し続けるには、DXを前提としたサービスとして再設計する必要がある
IDCでは、国内市場において、モバイルやクラウドなどの第3のプラットフォームの普及を前提とした、ビジネスモデルの転換があらゆる産業分野で起こると予測している。このような変革は、デジタルトランスフォーメーション(DX)と呼ばれており、このDXがあらゆる面の企業活動に影響を与える可能性がある。例えば、DXによってオフィスでの働き方改革が進み、今後はMPDSに対しても新たな働き方を支援するような価値提供が求められてくると考えられる。
IDC Japan イメージング,プリンティング&ドキュメントソリューション グループマネージャーの石田英次氏は、「2017年は、MPDSの成長が急速に鈍化した年であった。一方、市場はデジタルトランスフォーメーション(DX)によって大きく変化しようとしている。今後もMPDSが高い価値を提供し続けるためには、DXを前提としたサービスとして再設計する必要がある」と分析している。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内MPDS/ドキュメントアウトソーシングサービス市場予測、2018年~2022年:世界市場動向との比較」、および「国内マネージドプリント/ドキュメントサービス市場シェア、2017年:ベンダーの国内戦略」にその詳細が報告されている。