「TMT Predictions 2019 日本版」では、グローバルで発表した5G、AI、スマートスピーカー、eスポーツ量子コンピュータなどに関する10の業界予測に対して、各分野の日本の専門家が日本企業として変化にどう対処し、どう対応すべきかを「日本の視点」として解説している。
また、日本独自のコンテンツとして、いま日本企業が取り組むべき4つのテーマとして「APIエコノミー」「IoTの活用」「IoTのリスク対応」「ロボティクス」を取り上げ、世界の動向や日本における現状と対応策などについて解説している。
「TMT Predictions 2019 日本版」:「日本の視点」で取り上げる14のトピックス
- 5G:共創による新しい市場作り
- Artificial Intelligence(AI):日本におけるAIの「民主化」
- スマートスピーカー:日本におけるスマートスピーカーの現状と今後の課題
- TVスポーツ/スポーツベッティング:スポーツベッティングによるスポーツ振興とアスリート支援への活用可能性
- eスポーツ:eスポーツ市場の持続的成長に向けて
- ラジオ:デジタルを活用したリスナー拡大と、音声領域での新たなビジネスモデル
- 3Dプリンティング:国内量産現場での課題
- 中国の通信環境:日本企業から見る中国データ経済圏の位置付け
- 中国の半導体市場:市場展望と日本企業の戦い方
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量子コンピュータ: Next Technologyに向けて日本企業が取り組むべきこと
■日本独自トピックス - APIエコノミー:企業の競争力の源泉となるAPIマネジメント力
- IoT活用における課題と処方箋:実証実験の壁を越えるには
- IoTが企業にもたらすリスク:DXに潜むセキュリティ脅威と機器設計段階からの対策
- ロボティクス:ロボティクスオートメーションの進化
グローバルトピックス/「日本の視点」のポイント
■5G:共創による新しい市場作り
グローバルで端末の販売規模が、2019年には100万台超、2020年までには1,500~2,000万台に伸びると推計される5G。日本においての5G浸透には「5G価値の消費者実感」「端末の低コスト化」「通信事業者の設備投資負荷」のハードルがある。日本における5G浸透に向けては共同事業による仕掛けづくりがポイントとなる。
■Artificial Intelligence(AI):日本におけるAIの「民主化」
グローバルでは、2020年までにAIソフトウエア使用企業におけるAI統合型エンタープライズソフトウエアサービスの普及率は87%、クラウドベースAI開発サービスの利用は83%まで増加すると予測し、AIの利用が一般企業にも拡大する「AIの民主化」が進むと想定している。
しかし、日本における「AIの民主化」には「日本語」「実用性」「データガバナンス」の3つのハードルがある。課題を乗り越え日本はどう「民主化」を進めるべきか解説する。
■スマートスピーカー:日本におけるスマートスピーカーの現状と今後の課題
グローバルにおけるスマートスピーカーの2019年の市場規模は前年比63%増の70億ドルに拡大すると予測している。日本においては2017年にスマートスピーカーの発売が開始されたが、認知度が60%に達するのに対し、普及率は現状3%程度にとどまる。
しかし、5GサービスやIoTの進展に伴うインフラ面の高度化に加えて、いくつかの技術的なブレークスルーにより各家庭での導入は急速に進むと想定される。ブレークスルーのための技術的要件と普及期におけるビジネスにおける備えを解説する。
■TVスポーツ/スポーツベッティング:スポーツベッティングによるスポーツ振興とアスリート支援への活用可能性
グローバル版では、米国において2019年にはテレビスポーツ視聴者の40%がスポーツベッティングに関与する機会があり、テレビ視聴のドライバとなると予測している。一方、日本においては法的、文化的な背景からスポーツベッティングが直ちにビジネスの主流となることは考えにくい。
既に世界ではスポーツ市場にベッティングというが取り込まれ、産業全体の拡大とスポーツ振興が健全に行われるような動きが起きている。これを受けて、日本でもインテグリティの確立を前提とした導入について一考の余地がある点を解説する。
■eスポーツ:eスポーツ市場の持続的成長に向けて
グローバルでは2019年に、特に北米のeスポーツ市場が、広告、放送権、フランチャイズリーグの拡大によって35%伸長すると予測している。
日本においても、2018年2月に日本eスポーツ連合(JeSU)が発足しプロライセンスの発行が開始され、2019年秋に開催される「いきいき茨城ゆめ国体」においてeスポーツの競技会が文化プログラムで実施される予定であり、今後の成長が期待される。今後日本においてeスポーツ市場がどのように拡大するか、企業視点でどう取り組むべきか、展望と課題を解説する。
■ラジオ:デジタルを活用したリスナー拡大と、音声領域での新たなビジネスモデル
グローバルでは、世界のラジオ収益が2019年に前年比1%増の400億ドルに達すると予測している。車社会の米国などと日本の状況は大きく異なるが、米国や英国のラジオや音声メディアの動向をみると、日本におけるラジオ業界の今後の可能性を考えるうえで参考となる事例も多い。
日本のプレイヤーへの示唆となるような、デジタルを活用したストック型モデルへの転換やデジタルチャネルを活用した若者層の聴取獲得など具体的な事例を解説する。
■3Dプリンティング:国内量産現場での課題
グローバルでは、3Dプリンティングに関連する大手上場企業の売上は、2019年には27億ドルを超え、2020年には30億ドルを上回ると予測している。日本においても3Dプリンティング市場は堅調に成長し、日系企業も3Dプリンタの開発・活用を加速させている。
しかしながら国内の量産現場での3Dプリンタの導入は欧米に比べ大幅に遅れを取っていることは否めない。国際競争力を保つためにも日本企業が解決すべき課題を解説する。
■中国の通信環境:日本企業から見る中国データ経済圏の位置付け
グローバルでは、2019年時点で中国が世界有数の通信網を構築し、その状況が中期的に続くと予測している。5G投資やBATを中心とした中国データビジネス強化がよりダイナミックに進展する可能性がある中、中国におけるデータビジネスの発展が、グローバルでデータビジネス展開を志す日本企業にとってどのような機会をもたらすかについて考察する。
■中国の半導体市場:市場展望と日本企業の戦い方
グローバルでは、2019年に中国で製造される半導体の収益が約1,100億ドルに成長すると予測している。半導体市場は長期的に成長を継続してきたが、日本の半導体企業の市場シェアは減少傾向にある。
米国・韓国・台湾勢だけでなく、国策で産業進展を後押ししている中国の台頭により、競争はさらに激化する見通しである。市場の展望と日本企業の戦い方について、2つの戦い方、3つの方向性を提示する。
■量子コンピュータ: Next Technologyに向けて日本企業が取り組むべきこと
グローバルでは、量子コンピューティング(QC)は今後10年において、テクノロジー領域でもっとも期待できる収益機会の1つとして台頭するものの、従来型のコンピュータを代替する可能性は低いと見る。
2030年代には、量子コンピューティング市場はスーパーコンピューター市場と同等の年間500億ドル規模に成長すると見込まれるが、古典デバイスも毎年1~2兆ドルの売り上げ規模を保つと考えられる。商用化と普及拡大には時間を要する量子コンピューティングについて、日本企業はどう取り組むべきか解説する。
日本独自のコンテンツのポイント
■APIエコノミー:企業の競争力の源泉となるAPIマネジメント力
世界的に数兆ドル規模に達すると言われるAPIエコノミーだが、日本においては開発の現場と特に大企業におけるビジネスの現場にギャップが存在しAPIエコノミーの活性化やAPIを活用したビジネスやイノベーションの創出、機動力を持った経営には至っていない。
現状を打破するためには外部のAPIを「使いこなす力」と自社の公開するAPIを「使ってもらう(使いこなされる)力」を併せ持つ「APIマネジメント力」を身に着けることが求められる。そのために必要な3段階のステップを概説する。
■IoT活用における課題と処方箋:実証実験の壁を越えるには
IoTは5Gの実用化により世界的に新たなステージに進みつつある。一方で日本は普及率でグローバルに5年遅れているとも言われる。その要因にはマネジメント層がIoTのビジネス活用について、ビジョンや目的を明確に示せてない点がある。
課題を乗り越えるために日本企業には5年先、10年先に起こりうる変化を踏まえ、将来目指すべき世界観、将来像、IoTを活用して提供する価値は何かシナリオを描き、そこからバックキャストしてロードマップを策定することが必要だ。そのための要点を解説する。
■IoTが企業にもたらすリスク:DXに潜むセキュリティ脅威と機器設計段階からの対策
IoT利活用を通じてビジネス変革を目指す企業は、セキュリティリスクにも目を向ける必要がある。従来サイバー攻撃を受けた企業は「被害者」という立場であったが、容易に踏み台にされるIoT機器を放置している企業は、サイバー攻撃をほう助している「加害者」にもなり得ることを認識する必要がある。
すでに欧米では、セキュリティ要件を調達品に対して設けており、日本でも2020年4月からIoT機器のセキュリティ対策が義務化される。対策のために必要な視点と要点を解説する。
■ロボティクス:ロボティクスオートメーションの進化
先進国の労働力不足や新興国の賃金上昇などの要因で世界的にロボティクスブームがかつてない規模で起こっている。製造業などの生産工程では既にほとんどの工程が自動化されているといった印象もあるが、自動化が進んでいるのは加工工程中心で、工程全体における自動化率は現状でも50%に満たないと見ている。
しかし、今後は認識技術やAI、通信技術の進歩によって急速に完全自動化が進むと考えられる。2020年以降に向けた自動化のステージと、関連技術ロードマップについて詳説する。
なお、このレポートの詳細はデロイトトーマツグループのニュースリリースのページからリンクされている。