日本航空では、新システム基盤として、クラウド技術を全面的に活用して、以下の課題解決を図った。
- 標準化したインフラサービスの提供(カタログ化)による、基盤構築スピードアップと高い可用性の確保
- インフラリソースの適切な配分と運用業務の自動化による業務効率向上、運用管理業務効率化とコスト適正化
- 統合化・仮想化されたインフラ基盤の水平展開による既存環境からの確実なシステム移行と今後の柔軟な拡張性の担保
今回、運用を開始した「新システム基盤」は、相互にネットワークで接続された3つのクラウドで構成されている。
日本航空のデータセンター内に「プライベートクラウド基盤」を構築。また、ビジネス環境の変化への俊敏な対応と業務を革新、先進化し競争優位性を発揮させるために、IBM Cloudによる「専有IaaSパブリッククラウド基盤」と、他のベンダーから提供される「共有IaaS・PaaSパブリッククラウド基盤」の2種類を準備した。
さらに、これらのプライベートとパブリック、専有と共有といった性質やベンダーが異なる3つのクラウドを統合的に管理する「統合管理基盤」を構築した。
日本IBMは「ハイブリッド・クラウド基盤」と「統合管理基盤」のセルフポータルをはじめ、プロビジョニング、サービス管理、共通基盤、各種リソースプールなどの機能に関し、各領域で最適なソリューションを複数社のパートナーと協業し、長年にわたる日本航空のシステム構築の経験を活かして、統一されたアーキテクチャーによる設計、インテグレーション、保守を一貫して提供した。
「プライベートクラウド基盤」には、既存の仮想環境との親和性の高いVMware vSphere、VMware vSAN、VMware NSXを活用し、オンプレミスの既存システムから安全で確実な移行を実現した。また、物理サーバと仮想サーバの混在環境に対してネットワークをリソースプール化するために、Cisco ACIを活用した。
さらに、「専有IaaSパブリッククラウド基盤」と「共有IaaS・PaaSパブリッククラウド基盤」を用意したことで、使用用途や高性能ベアメタル、スケールアウトなどの要件に合わせて適切なIaaS環境を選択することができるという。
「統合管理基盤」は、ServiceNowのIT Service ManagementとVMware vRealizeを組み合わせて、利用者にポータル機能やサービス管理機能を提供し、標準化・自動化をすすめた。この「統合管理基盤」は、従来数日かかっていた仮想サーバの構築期間が数時間へ短縮できるアーキテクチャーとなっており、日本航空のデジタル変革をより加速することが可能になるという。