ガートナージャパン(以下、Gartner)は、日本におけるデジタル・ビジネスへの取り組みに関する調査結果を発表した。
本年4月、従業員数500人以上の国内企業におけるIT部門の管理者層に対し、ユーザー調査を実施。同調査から、COVID-19のパンデミックにより、ビジネス環境は厳しくなりつつも、一方でデジタル化/電子化のトレンドが加速していることが明らかになったという。Gartnerは、デジタル・ビジネスへの取り組みについて2017年から調査を継続しているが、最新結果では、COVID-19の影響がなかった昨年1月とは明らかに異なる状況が見られたとしている(図1参照)。
本調査では、デジタル・ビジネスへの取り組みについて、「取り組んでいない/その他」と回答した割合が35.0%(2020年)から17.5%に半減し、全体の8割を超える企業が何らかの形でデジタル・ビジネスに取り組んでいる状況が浮き彫りになったという。また、「アイデア探索」という回答が2020年の11.5%から22.7%に倍増し、最も大きく変化している。
同アナリストでバイス プレジデントの鈴木雅喜氏は、「デジタルへの取り組みには強い追い風が吹いています。パンデミックで行動様式が変化し、人と人が対面せずデジタルなやりとりを行う頻度が増え、テクノロジをビジネスに活用する動きが広がりました。これに加え、テレワークや、紙/ハンコを使わない電子化のトレンドが明らかに強まったため、普段はテクノロジの活用をあまり意識しない企業の経営層や管理者層までもが、デジタル化や電子化を無視できなくなりました。このことも、デジタルへの取り組みが広がった要因と言えるでしょう」と述べている。
一方、デジタル化/電子化への取り組みにおける、パンデミック前(2019年)と比べた変化について調査対象者に尋ねたところ、半数を超える企業がペーパーレスやハンコレスを、また4割を超える企業がデジタル・ビジネスへの取り組みを強化すると回答。図2からもわかるように、デジタル化/電子化への取り組みは加速しているという。
鈴木雅喜氏のコメント
パンデミックはいつ収束するのか。パンデミックで変化した人の行動様式やビジネスの進め方は、この先どこまで元に戻るのか、あるいは戻らないのか。デジタル化や電子化への追い風は吹き続けるのか。パンデミックが早期に収束し、一方でデジタル化のトレンドはそのまま続くのがベスト・シナリオですが、どうなるかは誰にも予測できません。デジタル化/電子化を進めるテクノロジ・イノベーションやITを率いるリーダーは、パンデミック収束にともない、こうしたトレンドも次第に弱まるシナリオを考えておく必要があります。場当たり的な対応ではなく、3年先、できれば5年先までの方向性としてデジタル化/電子化を戦略に織り込み、短期的なサイクルの中で確実に成果を出し続け、経営層と社内のステークホルダーにアピールして、活動を根付かせることが重要です。
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