Gartnerは10月21日(米現地時間)、取締役の57%がリスク選好を高めた、または2022年にかけて高めるつもりであるとの調査結果を発表した。
調査は米国、欧州、アジア太平洋の地域において、法人の取締役会メンバーを対象として2021年5~6月にオンライン形式で実施。273人の取締役から回答が寄せられたという。
回答した取締役らは、経済の不確実性(38%)、競合他社からの破壊的なビジネスモデルの出現(35%)、供給不足によるコスト上昇(28%)の上位3項目を、業績に対する最大のリスク要因に挙げているとしている。
取締役の40%がデジタル・ビジネス関連予算をビジネス部門に移管
取締役は、デジタル・テクノロジ・イニシアティブを引き続き重視しており、調査回答者の58%が最優先すべき戦略的ビジネス課題としてこれを位置付けたと報告している。なお、この割合は2021年の調査と比べるとやや減少しているという。
また、回答した取締役の64%は、企業の経済構造をよりデジタル経済中心のアーキテクチャに転換しようとしていることが明らかになったとしている。この事実は、デジタル投資を吸収するために、予算配分やガバナンスへのアプローチを変えつつあるということを意味しているという。たとえば、取締役の40%は、デジタル・ビジネス関連予算をテクノロジ/IT予算に集約するのではなく、ビジネス部門に移管。また、取締役の3分の1は、デジタル投資のROIを評価するための指標を変更していると報告している。
さらに、取締役会の焦点は、ITの範囲を超えたテクノロジの役割へと移りつつあるが、取締役の34%はIT/デジタル/テクノロジ小委員会(いずれかの名称)を正式に設置しており、そのうちの大多数(94%)はCIO/CTOが当該小委員会の正式メンバーであると回答したとしている。
取締役会の最優先課題は、人材と社会問題に
人材(従業員の定着、トレーニング、採用など)に関連する課題を、取締役の52%が最優先すべき戦略的ビジネス課題として挙げており、2021年の調査と比較して86%増加しているという。
ESG(環境/社会/ガバナンス)、健康、持続可能性は、取締役会の優先課題の上位3項目に入り、昨年から100%増加。加えて、今回の調査から、取締役会の30%は、自社が主要な社会問題または政治問題に公式に関与していると考えており、半数近く(45%)の取締役会が「DEI:ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂性)」をすべての会議で、または四半期ごとに議題にしていることが明らかになったとしている。
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