Clouderaは、11月10日に「日本市場拡大に関する戦略説明会」を開催した。
昨年10月に同社長執行役員に就任した大澤毅氏が登壇すると、はじめにグローバルにおける業績について言及した。アメリカやヨーロッパにおいて堅調に業績を伸ばしながら、アジア太平洋地域(APAC)では昨年比33%、日本においては昨年比142%をみせている。特に日本における高成長の背景には、「Cloudera Data Platform」(CDP)へのマイグレーション、PoCが順調に進行していることが挙げられるという。
また、3つのグローバルトレンド「ワークロードにおける環境選択の多様性」(オンプレミスやクラウドなど1つに絞らず、ワークロードによって自由に環境を選択していきたいというニーズの高まり)、「マルチパブリッククラウド」(2023年には、63%の企業がマルチパブリッククラウドを選択すると予測)、「データガバナンスとコンプライアンス」(データの増大、協業機会の増加、GDPRなどデータガバナンスの重要性、規制対応への整備が欧米を中心として加速)も影響し、Clouderaへの引き合いも増えているとした。
大澤氏は、「2009年にHadoopを商用化した初期のフェーズを『Cloudera 1.0』とするのなら、CDPのリリース以降を『Cloudera 2.0』、そして今後は『Cloudera 3.0』としてハイブリッドデータカンパニーの実現を目指します」と語る。今後は、PaaSだけでなくSaaSソリューションも来年初頭を目途に提供予定だという。
Cloudera 3.0における5つの取り組み
- イノベーション創出フォーラム:Clouderaの経営陣とユーザー企業の経営陣が参加し、ハーバード大学のファシリテートによりビジネスモデルを議論する
- プロダクト開発ボード:ClouderaのR&D部門とCDPを活用しているIT部門と製品戦略の検証、イノベーション創出フォーラムで提起された新しいビジネスモデルを実装するためのテクノロジー検証などを行う
- Clouderaラボ:イノベーション創出フォーラム、プロダクト開発ボードで議論された内容を実際に検証し、PoCを促進する場の創出
- エグゼクティブ・ブリーフィング・センター:以前から提供していたものを新たに体系化。既存2,000社のユーザー企業と日本のユーザー企業をつなぐ機会を提供、日本企業を本社に招待、グローバルのCDxOの働き方を肌で感じるツアーなど
- エコシステム連携:ミッション実現に向けて、ISV、MSPパートナーとの連携を促進するだけでなく、産学連携による人材確保を進める
また、日本戦略として下記3つを柱として、3年後にAPACにおける売上比率ナンバーワンを目指すとした。
- Love our Brand:GPTW(Great Place to Work)ナンバーワン、D&I(Diversity&Inclusion)の継続促進、社員増強
- Happy - Happy Customer:ビッグデータの新たなユースケースを日本市場に提案し、Clouderaコミュニティーの成長を促す
- Partner Ecosystem:クラウドベンダーおよびコンサルティングパートナー、ISV/MSPパートナーとの連携強化
加えて、データサイエンス学部を設立している武蔵野大学との連携も開始しており、企業に対してデータ人材を展開していくことも検討している最中だという。今後は日本市場の要望に応える形で「Cloudera Academic Program」もローンチ予定で、他大学や専門学校との連携も増やしていき、データ人材をシェアリングできるエコシステム構築を目指すとしている。
説明会の最後に大澤氏は、「『Hadoopの会社』ではなく、新生Clouderaとして第二創業期は注力していきます。今後も、ビッグデータがもっと身近で当たり前になる世界を目指していきます」と展望を述べた。