城南信用金庫と日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)は、「城南バンキングアプリ(仮)」の開発を開始したと発表した。
今回提供するアプリは、通帳と預金残高を表示し、ページをめくると入出金明細が見えるなど、「デジタルと慣れ親しんだ紙通帳(アナログ)の安心感を融合した新しいユーザー・エクスペリエンス(UX:顧客体験)」をコンセプトに、日本IBMのiX(インタラクティブ・エクスペリエンス)部門のデザイナーとコンサルタントが参画し開発するという。
アプリ画面のデザインは、城南信用金庫の営業店で働く若手職員によるワークショップを通じ、現場目線からのお客様の声を取り入れるなど、徹底した「お客様志向に基づいてモノやサービスを創出」する「デザイン思考」のアプローチを採用。こうしたUXコンセプトをもとに段階的にプロトタイプを作成し、一般ユーザーによるユーザー評価テストを実施して「お客様本位の使いやすいアプリ」を実現していくとしている。
また、従来の紙ベースで行っていた金融機関特有の事務プロセスを変革し、「データ」を一気通貫に活用したデジタルワークフローによりデジタル変革を実現するという。IBM Cloud上に構築された金融サービス向け「デジタルサービス・プラットフォーム(DSP)」を採用することで、これまで金庫の職員が専用端末に打鍵していた勘定系システムの処理をAPI基盤経由で自動化し、職員のオペレーションレスを実現。そして、業務アプリケーションは、マイクロサービスによる共通利用が可能なアーキテクチャーを採用することから将来的には、バンキングアプリに加えて、営業店や渉外担当者の外訪業務といった他チャネルの効率化にもつなげていく予定だとしている。
なお、Cloud上で稼働させる非対面チャネルアプリケーションで事務プロセスのDXを実現する取り組みは業界初だという。
今後、第一段階として2023年1月には、個人と事業先向けに通帳レス、証書レス、郵送レスにつながる参照系のサービスに加えて普通預金新規口座開設、諸届受付(個人のみ)の提供を開始。以降、個人向けに融資申込や定期預金、定期積金の作成・解約、振込、振替などの更新系サービスも順次提供していく計画だとしている。
また城南信用金庫が行うキャンペーンの紹介やセミナーの申し込みなど、地域の皆様とのコミニュケーションツールとしての機能も備えた「オールインワンアプリ」を目指して順次展開していく予定だという。
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