大林組とパナソニック コネクトは共同で、建設作業員への多様なサービス提供に向けた顔認証を活用した統合IDプラットフォームの構築に着手。両社は、通勤時のシャトルバスへの乗降確認や入退場時のセキュリティチェックなどを想定した、顔認証の実証実験を実施した。
プラットフォームに顔画像情報と本人情報をID連携することで、顔認証であらゆるサービスが利用できるようになるという。2社は、2025年の大阪・関西万博開催に向けて建設工事が本格化する夢洲(ゆめしま)における建設工事を想定し、顔認証の確実性とスムーズさを実験。その結果、サービスの提供による利便性や快適性が向上できることを確認したという。
今後、2社は実証実験結果をもとにサービスの具体化を進め、顔認証を活用したシャトルバス運行と入退場管理の実用化を目指すとしている。さらに、将来のスマートでサステナブルな夢洲まちづくりへの応用も想定しつつ、顔認証による統合IDを基盤としたサービスの拡充を進めていく予定だという。
実証実験結果の概要と結果
実環境における顔認証の精度を確認
統合IDプラットフォームには、パナソニック コネクトが開発中の「Hybrid-ID」の適用を想定し、顔認証には同社のクラウドサービス「KPAS(ケイパス)クラウド」を利用。屋内、屋外、時間帯の違いなどの環境変化、顔の露出量、マスクやヘルメットの着用など条件変化を加えながら認証を繰り返した結果、誤って認証される事象は発生しなかったという。また、認証と同時に体表面温度測定も行うことができたことから、感染リスクの低減に向けたサービス拡大の可能性も示せたとしている。
時間あたりの乗降可能人数を確認
シャトルバスを想定した実験では、大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)の協力のもと、路線バスおよび2種類の観光バスを使用。乗降口で顔認証し乗車する平均乗降時間を算出した結果、想定乗車人数を1台40人とした場合、平均3分半程度で乗降できたという。
建設作業員の受容性を確認
建設作業員に、顔認証技術の印象や顔画像を使った建設現場サービスへの期待度についてヒアリングを実施。その結果、8割以上が「満足」と回答したという。また、手荷物を持ったままでも利用でき、マスクやヘルメットを装着していても認証されるという特長を活用し、現場内のセキュリティエリアへの入場チェックや、重機利用時の非接触認証といったサービスへの期待の声もあったとしている。
【関連記事】
・パナソニックが東京ドームで新顔認証技術を運用開始 各社クラウドとも連携し、入場・決済も実現
・NEC、顔認証で新型コロナワクチン接種完了を確認できるサービスを開発 3月末実装へ
・JCB、DNPなど業界横断の顔認証コンソーシアム設立 りそなグループで実証実験も