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串カツ田中、店舗の管理効率化で人材不足などの課題解消を目指す インフォマートとの合弁会社がアプリ開発

 11月4日、インフォマートと串カツ田中ホールディングス(以下、串カツ田中)は、共同開発している飲食店舗管理アプリ「V-Manage」サービスリリース発表会を開催。串カツ田中 水道橋店で詳細が説明された。

(右から)串カツ田中ホールディングス 代表取締役社長 坂本壽男氏、Restartz 代表取締役 箱崎竜太郎氏、インフォマート 代表取締役社長 中島健氏
(右から)串カツ田中ホールディングス 代表取締役社長 坂本壽男氏
Restartz 代表取締役 箱崎竜太郎氏
インフォマート 代表取締役社長 中島健氏

 はじめに、串カツ田中 代表取締役社長 坂本壽男氏が飲食業界の課題として、コロナ禍で時短営業などを強いられ、かなり厳しい状況を強いられてきたと切り出した。採用をかけても人が集まらなかったり、十分なおもてなしができなかったり、あるいは夜遅くまで営業できない、新規出店が難しいなど依然として厳しい状況が続いているという。また、働き方についても、店長ないしは社員が最低1名はいないとアルバイトに指示を出してまわせず長時間労働につながり、賃金も低く生産性が上がらない状況もあるとした。

 特にチェーン店に多い課題として、本部主導のキャンペーンやメニューの変更、衛生管理の徹底など営業以外での実務が多くあり、整理されていない状況だという。徐々に売り上げを取り戻しつつある中でも、原材料高騰やウクライナ情勢による影響なども大きく、収益構造の改善につながらない。坂本氏は、「こうした課題を解決するためにはちょっと改善するというよりも、“パラダイムシフト”のように抜本的に変えないと業界として良くならない」として、今回の発表会の主旨である「V-Manage」の開発に至ったと述べる。

 これにあわせて、インフォマート 代表取締役社長 中島健氏は、「何か新しいことをやりたいというニーズ、串カツ田中さんのいろいろな課題を解決したいというニーズが合致した」と語る。串カツ田中は、インフォマートのサービスを利用しているヘビーユーザーであり、コロナ禍の前から、何か一緒に組んで新しいことができないか、外食産業盛り上げるために何かできないかといった話をしていたという。

 なお、「ユーザーとがっちり組んでやるのは初めて」と中島氏が語るように、「V-Manage」開発にあたっては両社による合弁会社Restartz(リスターツ)が主導している。今回のアプリリリースまでに議論を重ねたことを振り返り、「特に感動したことは、自分たちだけが使うのでなく、広く外食産業に寄与できるためにはどうしたらよいのかを考えてもらったこと」と中島氏。より多くの店舗に利用してもらうためにも、今後もPDCAサイクルを回しながらより良いものにしていき、外食産業すべての発展につなげたいとした。

 では、具体的にどのような機能が搭載されているのか。「V-Manage」をリリースするRestartz 代表取締役 箱崎竜太郎氏は、同アプリについて「飲食店の運営について、開店前から営業中、閉店後にある日々必要な業務について、いつ誰が何をすればよいのかを可視化して、サービスレベルを下げずに運用可能にしていくことを目指している」と説明する。自分が何をしなければならないかをシステム側が教えてくれ、新しいスタッフが入ってもわかりやすく、やるべき情報とやったことの情報が属人的にならず、店舗ごとに管理できるという。これにより、結果的にマネージャーなどの社員が店舗におらずとも状況がわかるため、1人のマネージャーでも複数店舗を効率的に管理できるようになるという。

 実際に説明会では、デモンストレーションを交えて機能が紹介された。『日々の店舗におけるタスクの確認と実施』『マネージャーや本部による臨時の指示出しや確認』という2点を支援するような機能が搭載されており、店舗側の端末からは、時系列順に何をどのポジションの人がやらなければならないかというタスクが一覧で確認できる。このとき、フライヤーや“ネタケース”立ち上げなど、イメージ資料やマニュアルを添付できるため、経験が浅いアルバイトでも自身で具体的な手順などを確認できるという。

PC・タブレットにおけるタスク実施画面
PC・タブレットにおけるタスク実施画面

 また、トイレの清掃チェック、冷蔵庫の温度帯管理など従来紙で確認していたチェック項目についても、簡易的なチェックシート機能により電子化を図り、もし異常値があればアラートを出すような仕組みになっているとした。一方、運営本部やマネージャー側からは、チラシを貼るといった非定型業務をはじめ、必要な業務指示については緊急タスクとして店舗側に出せるだけでなく、実際にチャット形式でコミュニケーションをとったり、レポート機能も備えているという。

PC・タブレットにおける臨時タスク作成画面
PC・タブレットにおける臨時タスク作成画面

 箱崎氏は、「運営本部側は、常に各タスクの実施状況を確認でき、HACCP(ハサップ)などに対応した運用を万全にできる。エリアマネージャーは日々のタスクについて改善に着手しやすく、店舗側にとってもタスク画面で漏れなく確認できることでサービスレベルを維持できる」と自信を見せる。なお、本アプリについては、複数ブランド展開やFC形態にも対応しており、2023年の目標導入数として70社 1,100店舗を目指していくとした。

 説明会の最後に、実際に「V-Manage」を導入した店舗事例について、串カツ田中 東日本営業部 統括GM 糠森理氏が紹介。現在、約100の店舗タスクがあると前置きして、「これまでのアナログな方法で使いづらさを感じており、店舗タスクをすべてV-Manageに落とし込み、計3店舗のホールとキッチンに1台ずつ設置して試験運用している」とした。

串カツ田中 東日本営業部 統括GM 糠森理氏
串カツ田中 東日本営業部 統括GM 糠森理氏

 たとえば、マニュアルが事細かに記載できるため、新人スタッフへの指導時間の削減などに寄与しており、「これまで約4ヵ月間運用しており、当初は操作になれることから始めたが、今ではアルバイトさんが何をすべきか能動的に行えるようになった。実際に3店舗では、試験的にアルバイトだけでの営業を実施し、大きな問題が発生しなかった」と糠森氏。現在では、タスクをさらに細分化した約170の項目についても効率よく消化できているという。店舗改善やサービス強化にも役立てることができるとして、今後は導入店舗を増やすなど活用の可能性を見出していきたいとした。

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この記事の著者

岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)

1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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