アドビは、日本でのPDFファイルの利用状況や認識に関する実態調査の結果を発表した。今回の調査は、PDFの開発元であるアドビが、来年でPDFの正式発表から30周年を迎える中で、普段仕事でPDFファイルを利用しているビジネスパーソン600名を対象に実施したもの。
今回の調査で明らかになった結果は以下の通り。
「コロナ禍前後でPDFファイルの扱いが以前よりも増えた」と47.3%が回答
コロナ禍前後でのPDFファイルの利用頻度について調べたところ、「以前よりも大幅に増えた」が15.0%、「どちらかというと以前よりも増えた」が32.3%で、合わせて47.3%がPDFファイルの扱いが増えたと回答した。
4割以上がPDFファイルのイメージを「レイアウトが崩れない(45.3%)」・「編集ができない(44.2%)」と回答
PDFファイルに対してビジネスパーソンが持っているイメージを調べたところ、最も多かった回答は「レイアウトが崩れない」が45.3%、次いで「編集ができない」が44.2%と続いた。一方で、「電子署名/電子契約に使える」というイメージは8.7%に留まっている。
「普段利用しているPDF機能」の最多回答は「変換機能(他ファイルからPDF化)」
PDFファイルに関して、普段利用している機能について聞いたところ、最も多かったのは「変換機能(エクセルやワード、パワーポイントなどをPDFに変換する)」で57.8%となった。次いで、「コメント、ノート注釈、ハイライト、スタンプの追加」、および「ファイルの結合、分割、削除、回転、並べ替え」がそれぞれ32.7%と31.5%と、3割以上が利用している形となっている。一方で、知らなかった機能として最も多かったのは「比較機能(2つのPDFファイルを比較し、相違点や差分を確認する)」で35.0%、次いで「クラウド共有機能」で29.2%となった。
「運営元が不確かな無料のオンラインサービスを使って、ビジネス資料をPDF化・編集したことがある」と37.2%が回答
運営元が不確かな無料のオンラインサービスを使って、ビジネス資料をPDF化・編集をしたことがあるかどうか聞いたところ、20代の男女においては半数以上が、全体では37.2%が「ある」と回答した。また、PDFファイルの作成に使用するツールによって、体裁やフォントの再現性、長期の閲覧性に影響が出ることを「知っていた」とする回答者は33.8%に留まっている。
「機密性の高い文書をPDF化する際、パスワード設定や権限設定を行っている」と55.3%が回答し、世代が上がるほど利用率が低い傾向
機密性の高い文書をPDF化する際に、パスワード設定や権限設定を行っているかを聞いたところ、全体では「頻繁に利用している」が20.3%、「時々利用している」が35.0%で、合わせて利用率は55.3%となった。年代別で見ると、20~30代では利用率がそれぞれ72.6%と59.3%という数字となり、平均より高い結果となっている。
一方で、全体の25.7%にあたる、4人に1人以上がパスワード設定や権限設定を「全く利用していない」ことが判明した。また、PDF化した後でも設定次第では第三者が後から加工・修正できること、および個人情報の漏洩につながる危険性について認識があるか調べたところ、全体の64.3%が「知らなかった」と回答し、適切な設定をしないことによるセキュリティリスクが浮き彫りになっている。
今回の調査結果を受け、アドビマーケティング本部デジタルメディア ビジネスマーケティング執行役員である竹嶋拓也氏は次のように述べている。
「Adobe Acrobatでは前年比で半数以上のPDFがモバイルやwebで開かれ、過去1年間で数億ものファイルが共有されています。また、年間で数兆ものPDFが作成されるなど、PDFをベースとした共同作業が加速しています。しかし、PDFがオープンスタンダードとなり普及した一方で、国際規格に準拠していなかったり、権限設定に不備があるPDFが数多く作られ、セキュリティリスクの増加といったトラブルが発生しているのも事実です。こうした中で、企業が最適なツールを導入して基盤を整え、ビジネスパーソンが正しいITリテラシーを身に付けて文書管理を行うことが、喫緊の課題です」
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