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SAPジャパン、2023年はパブリッククラウド版ERPに注力 鈴木社長「業務を世界標準に」と訴える

 SAPジャパンは2月14日、2023年のビジネス戦略について同社 代表取締役社長の鈴木洋史氏が記者会見を行った。

 まず、2022年通年のグローバル業績が紹介された。総売り上げは前年比11%増の308.71億ユーロ。うちクラウドおよびソフトウェアの売り上げは265.22億ユーロで、クラウドが約半数を占める。「SAP S/4HANA Cloud」の売り上げは前年比91%増の20.82億ユーロで、売り上げに貢献したという。

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 SAPジャパンについて鈴木社長は「オンプレミスソフトウェアの売り上げが減少したが、クラウド事業ではグローバル同等に2022年4四半期、また通年ともに大変好調だった。その結果、総売り上げは前年比1%増となった」と話した。

 SAPジャパンの2023年の戦略として、鈴木社長は「ビジネスの俊敏性」「サプライチェーンの堅牢性」「サスティナビリティ」の3つを挙げる。「これら3つを実現するために、SAPは幅広いポートフォリオを提供して、業務効率、また生産性を劇的に向上させていくということに貢献していく」と意気込みを述べた。

 製品ポートフォリオでは、引き続きクラウド事業に注力する。「SAP S/4HANA Cloud」と「SAP Business Technology Platform(BTP)」を中心に、周辺業務クラウドと連携して、企業のDX推進を支援するという。2022年は、SAP S/4HANA Cloudをコアにしたオファリング「RISE with SAP」がグローバル、国内ともに大きく成長した。その上で、鈴木社長は「2023年は、SaaS型のクラウドERPである『SAP S/4HANA Cloud,public edition』に最も注力していく」と話す。その理由として次のように説明した。「オンプレミスのシステムで費やしている多額の運用コストは、このクラウドERPを活用することで削減可能で、新規投資にフォーカスする余力を生み出す。イノベーションを推進するためには、短期間で導入し使用開始できる、SaaS型のパブリッククラウド版ERPは非常に重要になる」(鈴木社長)。

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 なお、SAP S/4HANA Cloud,public editionは2022年10月に、最新版をリリースした。製造業向けの機能を拡張したほか、顧客固有の要望にも応えられるようになったという。それにより、国内の中堅中小、大企業の子会社や関連会社での採用が増えているとした。

 同社はクラウド事業を進めるにあたり、時代にあったデリバリーの方法論やモデルを根本から見直したという。顧客企業との相互理解の上で進める伴走モデルを確立するため、新たに立ち上げたカスタマーサクセスサービス部門がその役割を担う。同部門の内容として、サブスクリプション型の支援サービス「SAP Preferred Success」が紹介された。同サービスは、導入の準備段階から運用に至るクラウドサイクルライフサイクル全体の支援や、本番稼働後の運用保守も含まれるという。

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 また、事業拡大にはパートナーの存在も欠かせない。2022年のグローバルにおけるパートナーとのクラウドビジネスは前年比76%増で、日本のパートナー企業数は44社増えた。2023年は、パートナーエコシステムの拡大・強化、伴走モデルの確立、パートナーアセットの開発促進に注力するという。

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 最後に鈴木社長は、顧客の変革推進のパートナーとしての思いを語った。SAPジャパンは31年目を迎え、この間、多くの日本企業が業務をグローバル標準にすべく「業務改革」という位置付けでSAPの導入を進めてきたという。しかし「残念ながら多くの日本企業は仕事のやり方を変えられずにいる。いかに自分たちのやり方に合わせてSAPを入れるかということで、どんどんとアドオンが作られているのが実情だ」と指摘する。その結果、一人当たりGDPの低下や、給与が上がらないことなどが引き起こされていると話す。こうした状況を打開するために、世界標準に合わせて仕事のやり方を変えていくことが重要だと強調する。

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SAPジャパン 代表取締役社長 鈴木洋史氏

 同社では、「COO養成塾」といった次世代の変革リーダーの育成にも取り組んでいるという。鈴木社長は「(顧客企業)自身がいかに自分ごととして仕事のやり方、ビジネスのやり方をデジタルテクノロジーを活用して変えられるか。これが非常に重要な要素になるだろうと思う。それに向けて、エコシステムとともに全力で支援を続けていきたい」と話した。

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この記事の著者

小山 奨太(編集部)(コヤマ ショウタ)

EnterpriseZine編集部所属。製造小売業の情報システム部門で運用保守、DX推進などを経験。

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