2023年10月11日、弥生会計(以下、弥生)は事業戦略説明会を開催した。
同社は2023年4月に経営体制を刷新しており、今年度の速報値として251.4億円の過去最高となる売り上げを達成。登録ユーザーも310万超として堅調な成長を続けている。2023年10月20日には「弥生 24シリーズ」の最新バージョン提供を予定しており、「弥生会計 24 +クラウド」のような形で全製品に「+クラウド」という名称を追記する名称変更を行う。同社 代表取締役 社長執行役員 前山貴弘氏は「デスクトップソフトにおいてもクラウド機能が利用できることを十分に発信できていなかった。より多くの方に理解してもらうための名称変更だ」と述べた。
また、インボイス対応に注目が集まる中、「スマート証憑管理」機能によってデジタルで一元管理ができると強調。加えて、「デジタルインボイス」に対応するための機能追加を2023年10月24日に実施予定だとする。
前山氏は、複式簿記の興りやIntuit社「Quicken」登場など、会計の歴史を振り返ると「弥生会計の歴史が、まさに日本における“中小企業会計”の歴史と言っても過言ではない。一方、中小企業と大企業では会計データを中心とした業務データの活用に差が見受けられる。我々が取り組んできた『会計ソフトの民主化(Democratization of Accounting Software)』では十分ではなく、『会計の民主化(Democratization of Accounting)』を進める必要がある」と述べると、データ活用により業績向上につなげていく“バックオフィス業務の未来の姿”を目指すとして新ブランド「弥生 Next」を発表。CRMやリーガルテック、勤怠管理システムなど周辺サービスと連携しながら会計から商取引、給与とサービス提供領域も拡大していくなど「ポストERP」となる在り方を目指すという。
なお、新ブランド発表にともない「弥生給与 Next」「やよいの給与明細 Next」の2製品を2023年10月20日にリリースする。複雑な年末調整業務をデジタル化できるとして、「初年度無償としており、まずは年末調整からデジタルで楽にして欲しい」と前山氏。2024年中に商取引と会計領域における新ブランド製品も展開予定だとしている。
弥生 取締役会長(非常勤)平野拓也氏は、「スモールビジネスに対して大きなインパクトを与えるのではないか」と付け加え、これまでの弥生が安心・安全を届けていたならば、そこに“ビジネスを向上させる”という役割が加わることになると会見を締めくくった。