2023年10月11日、レッドハットは米Red Hat(以下、Red Hat)CEO来日にともなう記者説明会を開催した。
2023年7月にレッドハット 代表取締役社長として三浦美穂氏が就任しており、「テクノロジーもオープンだが、カルチャーもオープンであることを強く感じている。良いものを作っていこうという情熱とエネルギーで会社が動いている」と切り出した後、日本における事業戦略を説明する。
2024年にかけて、パートナーやISV企業との協業を深めていき、あくまでも顧客に価値を届けるためのプラットフォーマーとしての取り組みに徹するという。RHEL(Red Hat Enterprise Linux)に加えて、Red Hat OpenShiftやRed Hat Ansibleをコアビジネスとして拡大しつつハイパースケーラーやSIer、クラウドベンダーとの協業においてクラウドサービスも展開。2、3年後にはAIやIoTを活用したエッジビジネスの基盤が成長の糧になってくるという。三浦氏は「アジャイル開発はお客様の文化を大きく変えていく必要があり、“DXジャーニー”を一緒に描く伴走型のコンサルティングサービスにも注力していく」と説明。一貫性のあるシステム上で、より開発に専念でき、アプリケーションだけに注力してもらえるようにサポートしていく。
また、サービスとミドルウェアによる支援だけでなく、組織文化の変革にも貢献できるとしてオプテージ、第一生命保険と第一生命情報システムによる事例を紹介。続いて、グローバルにおける事業動向についてRed Hat CEOマット・ヒックス(Matt Hicks)氏が説明を行う。なお、同氏は日本初来日となる。
ハードウェアからエッジ、ソフトウェアなどあらゆる場面で変化が起こっており、AIによるインパクトが強く表れているとヒックス氏は指摘。Red Hatはオープンソースをベースとしていることが強みであり、常にパイプ役としてエンタープライズ向けにサービスを提供してきたと話す。1人の趣味として始まったLinuxが今や大きな影響を与える存在になっており、約20年が経った今でもカーネルの大部分が書き換えられているなど俊敏性を備えている。そうした強みを持つOSSは誰しもが使える一方、モダンなハードウェアにどう適用するかは難しく、そこを支援していくことがRed Hatの役割だとする。
特にモダンアプリケーションの開発環境が複雑化する中、環境を選ばないプラットフォームが求められていることを踏まえた上で「ここにChatGPTによるインパクトをいかに自社に生かし、力にできるか注目が集まっている」とヒックス氏。Red Hatは多くのOSSを擁しており、同社が提供するサービスを出発点としてもらうことで企業は素早く前進できると説明する。「データセンターでもパブリッククラウドでも同じように動かすことのできるプラットフォームを提供していき、今後もOSSに投資を続けていく」とヒックス氏は締めくくった。